11区、ペール・ラシェーズ墓地のすぐそこにある二人のアパートには、竹や松や、色とりどりの花に囲まれたテラスがある。8年前、インターネットの出会い系サイトで知り合った。ベルトランさんの自宅でお互いの顔を見た瞬間、「この人だ!」と確信。「フラヴィアンが持ってきてくれたポイヤックの赤ワインも高ポイントだった(笑)」。でも極めつけは、お互い猛烈なマドンナファンだったこと。25年前から、欧州で開かれるツアーには必ず足を運んでいる。 ノリがよくておしゃべり好き、初対面でも旧知の仲のように錯覚させられるベルトランさんは、ラ・ヴィレット公園のプレス担当。かたやもの静かで控えめ、ブルーの瞳から強靭な意志をのぞかせるフラヴィアンさんは銀行員。外見も職業も異なる二人にとってマドンナは「母、妻、愛人、ビジネスウーマンと、すべての面を見せてくれる完璧な女性。今までの性の概念に疑問を投げかけ、ゲイを支援し、エイズに気をつけろってメッセージを送ってくれた。僕の人生に決定的な影響を与えた人だよ」とベルトランさん。フラヴィアンさんは「彼女からこの世に自分しか頼る人間はいない、自分に誇りを持てと教わったんだ」 パリのホモセクシュアル事情について聞いてみた。「同性愛の基本は肉体関係だから、カップルとしての愛情関係は両立しにくい。実はとても残酷なんだよ」。パクス(市民連帯協約)には興味がないという。「僕らの愛には社会的な保証も契約書もいらない。集団主義は嫌いだし、ホモセクシュアルたちが集まってゲットー化したマレ地区に行くことは滅多にないんだ」 そんな二人の合言葉は、「マドンナがいうRe-invention!」と声をそろえる。「マンネリ化しないよう、いつも何か作り続けていかなきゃ。僕らには共同生活やテラスがあるけれど、この関係にしがみつく理由は一つもない。子供がいないことは逆に、一日も長くカップルでいられるかどうかへのチャレンジなんだよ」(咲) これから相手に期待したいことは? 前回のバカンスは? 夢のバカンスは? 最近二人で観た映画は? 最近二人で出かけたレストランは? カップルとしての満足度を5つ星でいうと? |
左がベルトラン、右はフラヴィアン。 彼らが愛してやまないマドンナの等身大の写真。 |