カラスミ製造所ー おいしいカラスミは干し方に秘密…。 N° 626 2008-02-15 ウニ、コノワタ(ナマコの腸の塩辛)と並び、日本の三大珍味のひとつがカラスミ。高級料亭で出されるような生粋の日本食という印象もあるが、フランスにもカラスミ(フランス語でpoutargueあるいはboutargue)は存在する。今回は、パリの隣町イヴリー・シュル・セーヌ市にあるカラスミ製造所を訪れた。 社長のメミさんはチュニジア人移民の二世。彼のお父さんが始めたカラスミ製造業を引き継いだ。現在フランスに7社ほどあるカラスミ製造会社の中で、最も老舗に当たる。「カラスミはチュニジアでも古くから存在しますが、特にユダヤ人が祭事に食べる高級品として知られます。チュニジアの特産品ではなく、〈地中海の味〉というイメージです」。例えば、スペインのムルシア、コルシカ島やサルディーニャ島などが生産地として知られる。エーゲ海まで入れればトルコのイズミールでも作られている。ヨーロッパ人にとっては、「カラスミ=日本の特産品」という印象は、全くなさそうだ。フランスには、紀元前6世紀にフェニキア人によって初めてもたらされたとする説が有力だ。 続いて製造過程の見学へ。はちきれんばかりにムッチリしたボラの卵巣が、鉄板の上に並べられる。卵巣に傷がつかないように、丁寧な作業が強いられる。「厚さのある卵巣は卵がよく育った証拠。良いカラスミを見分ける目安にもなる」とのことだ。ここでは午前中に塩漬けがなされ、午後に干す準備がされる。何はともあれ素材が大事であり、製造過程はシンプルこの上ない。とはいえ、メミさんのカラスミは、知り合いのユダヤ人が「あそこのは美味しい」と太鼓判を押す優れもの。なにか秘密があるのでは? と詰め寄って聞いてみる。「やはり干し方でしょうか。乾燥に2時間しかかけないという製造所もあるようですが、私は丸四日間はかけますよ」 最後に味見タイム。カラスミのねっとり濃厚な塩味に、思わず手が止まらなくなってしまった。キンキンに冷えたチュニジアンウォッカとの掛け合いも絶妙。大人になって本当に良かったと思える瞬間だ。(瑞) MEMMI : 01.4672.4109 www.boutargue-memmi.com Share on : Recommandé:おすすめ記事 歴代受賞者9万3千人、 女性10%、軍人3分の2。 リキュールの魅力は 柔軟さにある。 なぜか女性スタッフが カッコいい。 美味しく社会貢献しています。 子どもは成長、 大人は子どもに戻る。 エリート校の学生も人の子だ。