フランス映画界にセザール賞があるように、演劇界にも1987年からモリエール賞が存在する。1年間の優れた作品、役者、スタッフに授けられるこの賞が、今年も5月14日に発表された。結果を見てみると、例年に比べてコメディー・フランセーズの受賞が圧倒的に多いことに驚かされる。エドモンド・ロストン作の『シラノ・ド・ベルジュラック』が演出、主演女優、助演男優、公営劇場劇、美術、衣装、照明と7部門でモリエール賞。そしてこの欄でも紹介したベルナール=マリー・コルテス作『Retour au desert』が助演女優、と1部門で最高の座に輝いている。見たい! と思っても両作品ともすでに公演が終わっているので、来年のプログラムを待たなくてはならないのが残念。 私営劇場ではTheatre de l’oeuvreが、ハロルド・ピンターの戯曲『管理人』で主演男優、私営劇場劇と2部門に、そしてヴァンサン・ドラクロワ作の『A la porte』で一人芝居部門賞に輝いている。『A la porte』は現在も公演されている。家にカギを忘れたままアパートの扉を閉めてしまった退職哲学教師が、まだ眠気のとれない日曜朝のパリをさまよう様子が描かれる。ベテラン役者ミシェル・オーモンのパフォーマンスに圧倒されながらの1時間40分はなかなか濃厚だけれどさすが! 新人女優賞に輝いたのは、先月紹介した『La Valse des Pingouins』に出演したサラ・ジロドー。彼女、実は舞台と映画界両方で活躍するベルナール・ジロドーの娘で、よくよく見るとなるほど、父親によく似ているし、なかなかの美人。こちらもまだ公演中。そういえば、今年度いちばん話題になったといってもいい『La Dame aux camelias』に主演したイザベル・アジャーニが賞を逃しましたねー。まあ話題性はあっても実力は…ということでしょう。(海) |
『La Valse des Pingouins』で、新人女優賞に輝いたサラ・ジロドー。 火-土21h、日15h30。10€-38€。 |
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