公園ではポニーが子供を乗せているし、きれいな木馬のメリーゴーラウンドは街のあちこちで見かける。ブローニュの森やヴァンセンヌの森では乗馬を楽しむ人を見かけるし、エリゼ宮近くなどでは馬に乗った近衛兵がいる。そして玄関には不幸を遠ざける馬の蹄鉄がかけてあったりする。何気なく見逃しているけれど、フランスは人と馬が親密に暮らしている国の一つだ。
世界2位の馬産国で、なんと245もの競馬場があり、毎日どこかで競馬が開催されている。どうしてそんなに熱心なのだろう? と競馬場に足を運んでみたところ、ギャンブルだけではないフランス競馬の別の顔が見えてきた。競馬場は美しく、家族たちのピクニックの場でもあり、恋人たちのデートの場でもあり、時にはファッションを競い合う場でもある。
10月には日本で大人気の名馬ディープインパクトがロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞を走る。ディープは不慣れなロンシャンの長い直線距離や生い茂った芝生をモノともせず勝利できるだろうか。(西)
構成・文・写真:西山あき