OVNI 588 : 2006/5/15

ピレネー山脈にスロベニア産クマを移入することで賛否両論。

「これは山地で生活する人たちによる政治的な闘いだ。クマの存在は遊牧とは両立しない。もしネリー・オラン環境相が本当にクマをピレネー山脈に移入したいのなら、遊牧に携わる農民たちを、中国のように強制的に他の地に追いやらなければならない」

社会党のアンリ・ドナール地方圏議員。

「人間とクマはずっと長い間共存してきた。ピレネー山脈の住民たちはクマに愛着を抱いている。遊牧に携わる人は少数派で、クマ移入が上の方からの押しつけだと思うのは間違いだ。64%から80%の住民がこの移入に賛成している。クマ移入をめぐる対立は、遊牧、森林開発、狩猟、観光といったそれぞれ異なる利害関係を持った関係者たちのなわばり争いといえるだろう」

地理学者のファリッド・ベナムー氏。

クマの絶滅が危惧されるピレネー山脈で、個体数を増やすためにスロベニア産クマの移入が行われるなか、地元の畜産農家、住民などが反対運動を展開している。
5頭の移入計画のうち、4月25日と28日に1頭ずつが別々の場所に放たれたが、5月6日、バニエール・ド・リュションで1000人規模の反対デモが行われた。
残り3頭の移入差し止めの訴えを国務院は9日、却下したが、反対派は欧州人権裁判所への提訴、バリケードでの移入阻止の実力行使も辞さない考えだ。
Dico
clandestin
(クランデスタン 形容詞、名詞)
 滞在許可証を持たないで働いている外国人を “immigres clandestins” という。”clandestin” は、「違法の、ヤミの、もぐりの」という意味を持つ形容詞だ。密航者  は “passager clandestin”、地下に潜行しての闘争は “lutte clandestine”、ヤミ市は “marche clandestin”。名詞の “clandestin” は、第2次大戦中のレジスタンス運動家の意味で使われることも多い。はっきりとした数字はわからないが、フランスには20万人から40万人のimmigres clandestinsがいるとされ、失業者が増えるとその原因としてやり玉にあげられるが、彼らに”travail au noir(ヤミ労働)” を提供してもうけているのはフランス人…。(真)

20%
4月28日から29日にかけてリベラシオン紙が行った世論調査によると、シラク大統領とドヴィルパン首相の支持率が、クリアストリーム疑惑が影響してかさらに落下。前月比、大統領は1%減の24%、首相は5%減でわずか20%! これまで不人気の最高記録は、1991年7月のエディット・クレソン首相で18%。

30 900人
3月は失業者が3万900人減り、失業率は前月比より1.3%減。これは2001年1月以来の記録。失業者は228万8300人で就労人口の9.5%にあたる。失業対策の結果が次期大統領選挙の候補者に残るための鍵と考えていたドヴィルパン首相には吉報のはずだが、20%まで落ち込んだ支持率からはい上がるのはむずかしそう。

●ジダンが引退宣言
 フランスを代表するプロサッカー選手、ジネディーヌ・ジダン(33)は、4月26日、所属チーム、レアル・マドリードとの契約を1年残し、来月ドイツで開催されるワールドカップ(W杯)を最後に引退すると発表した。1998年には仏チームをW杯優勝に導き、2000年の欧州選手権、2002年のチャンピオンズリーグでも優勝、国際サッカー連盟(FIFA)の最優秀選手に3回選ばれるなど、輝かしい経歴を持つ。伊ユヴェントス(1996-2001)からマドリードに移籍した際、プロサッカー史上最高の7500万ユーロという移籍料が支払われた。

●EDF、次世代原子炉EPR建設を決定
 仏電力公社(EDF)の取締役会は5月4日、2012年運転開始予定の第3世代原子炉EPRの建設を正式に決定した。EPR建設は2004年春に当時のラファラン内閣が承認しており、同年10月に実験炉建設地が英仏海峡のフラマンヴィルに決定。その後シェルブールで一連の公聴会が開かれ、先月その報告書が公表されたばかり。EDFは来年初めに発布される省令を待たずに、EPR建設に着手する予定だ。建設費は33億ユーロ。実験炉が成功すれば、2015年から10基のEPR原子炉が建設され、2020年の運転開始を目指す。

●クリアストリーム疑惑で政界大揺れ
 クリアストリーム疑惑で、ドヴィルパン首相がシラク大統領の要請を受けてサルコジ内相ら政界要人への調査を指示したとする関係者の証言が、4月27日付レクスプレス誌などで暴露され、政界が揺らいでいる。相次ぐ不祥事に首相の辞任を求める声も左右両陣営から噴出。この疑惑は、台湾へのフリゲート艦売却に伴う不正手数料疑惑を捜査していたヴァン=リュインべック予審判事が、2004年5月に、不正手数料のための隠し口座をルクセンブルクの金融会社クリアストリーム経由でサルコジ、ストロース=カーン、シュヴェヌマン各氏ら仏政治家が所有しているという匿名の手紙を受けて、捜査されていたもの。該当する口座は見つからず、04年10月には国土監視局(DST)がドヴィルパン内相(当時)宛てにこの密告は虚偽と結論づけた報告書を提出。また、3月末に取調べを受けた国防省情報部の元責任者フィリップ・ロンド将軍は、ドヴィルパン氏との04年1月の会見時に、サルコジ氏らの調査に当たることを要請され、また、シラク大統領からも同疑惑の並行調査を依頼されたと供述。首相・大統領は否定しているが、社会党が国会調査委の設置を要求しているほか、右派内部でも首相への風当たりが強くなっている。
●ザカリアス・ムサウイ被告、終身刑に
 米アレクサンドリア連邦地裁の陪審団は、5月3日、米同時多発テロ裁判の唯一の被告、モロッコ系フランス人、ザカリアス・ムサウイ被告(37)に対して、終身刑の評決を下した。これにより、被告はコロラド州の特別監獄で外界との接触を一切絶った厳しい監視のもとで生涯を過ごすことになる。陪審団の協議では、同テロ事件における被告の役割の重大性を疑問視する意見も出たが、弁護側の主張する分裂症とは認めなかった。8日、ムサウイ被告は、同時テロには関与していなかったと証言を翻し、裁判やり直しを求める声明を弁護団を通して発表。しかし、この裁判は控訴不可能であるため、連邦地裁判事はこの要求をただちに却下した。