Faisons un reve

 「憧れていた人妻となんとしても一夜を過ごしたい!」という若い弁護士の夢が実現する。夫にばれたら…と浮かぬ顔の人妻を「演劇や映画には恋愛と別離がつきものでも、日常で体験できるのは珍しい。夢を見続けよう!」とからかい半分に弁護士は慰める。
 1916年にこの戯作を発表したのは、当時31歳のサシャ・ギトリ。第一次大戦中、というご時世ではこんな軽くて罪のない劇が人気を呼んだのだろう。軽妙な台詞の応酬が小気味よいし、洗練された会話がスノッブなブルジョワ社会をよく反映し、笑いを誘う。初演では、ギトリが弁護士役、ギトリの最初の妻が人妻役を、1921年の再演では、ギトリの第二の妻が人妻役を、1936年の映画化では、ギトリの第三の妻が人妻役を演じている。女性遍歴が豊富でドン・ファンと異名をとったギトリ、演じながら恋愛していたのか、それとも恋愛を演じていたのか? その反面、ギトリは「女嫌い」でも有名だった。この戯作でも弁護士は人妻を絶賛しながら女性全般を小馬鹿にしたような台詞を口にする。演出も担当した弁護士役のセバスチャン・アゾパルディは、ギトリのような苦みがないので「あれ?」と意外だったがなかなかの好演。よい夢を見せていただきました。(海)

火-土/20h、日/15h。10/26
Comedie Bastille : 5 rue Nicolas Appert 11e 01.4807.5207

●Mon vieux Vilbure, l’atelier Braque
 ジョルジュ・ブラックはキュビスムをどう考えていたのだろうか? 画家のアトリエを訪ねその制作の秘密を探っていく。シガラ、ボワスという絶妙に息のあった二人の役者が、アラゴン、マルローらの文章を引用し体現していく。イヴ・シュヴァリエ作、演出。26日迄。
水11h/15h、土14h/16h30、
日15h/18h。10
/12(予約が賢明)。
Muse Zatkine : 100bis rue d’Assas 6e
01.5542.7720

D A N C E
●Ballet Cullberg “As If”, “Aluminium”
 今は亡きスウェーデンの名ダンサーBirgit Cullbergが創立したバレエ団の二作品。彼女の息子で、現在世界中のバレエ団から最も振付を依頼されている一人Mats Ekは “Aluminium” を振付。彼は、高度なテクニックに支えられた奇妙で滑稽な動作と表情の溢れるシュールレアリスティックな演劇的舞台をつくり出す、普遍的な人間の心理を凝視する卓抜な観察力の持ち主。その人間への温かなまなざしに裏付けられた、無駄がないほどに極められた描写は、深く観客の心を惹き付ける。テーマをさらに物語るようなシンプルな装置や、洗練された衣装にもスカンジナビアモダンの美学が感じられる。
 ”As If” は現ディレクターJohan Ingarの振付。Mats Ekのエスプリを共感し、引き継ぐ彼の作品には、Nederlands Dans Theaterの振付家Jiri Kylianのもとでの影響も大きい、と言う。踊る身体の脆弱さと強靱さで魅せる。(珠)
26日-29日/20h30。12、20、26
Theatre national de Chaillot :
1 place du Trocadero 16e 01.5365.3000