5区にあるAction Ecolesでは、50人のシネアストでアート系作品50年の歴史を振り返る特集が開催中だ。ベルイマンの『処女の泉 La Source』(4/7上映)やパゾリーニの『マンマ・ローマ Mamma Roma』(4/21)は学校をさぼっても見る価値があるし、モーリス・ピアラの『Nous ne vieillirons pas ensemble』(4/24)や、ジャック・ロジエの『Les Naufrages de l’ile de la Tortue』(5/3)は、日本で不当評価されがちのフランス人監督の実力を思い知る機会に。5/16迄まで毎日開催。
なお名画座Action系列館では、現在26歳以下の観客に、すべての回が3€で鑑賞可能のカード「CINE PASSION」(毎年12/31迄有効)を2€で販売中だ。(瑞)
Action Ecoles : 23 rue des Ecoles 5e
プログラムはwww.allocine.frで確認可。
●Romanzo criminale
実在したイタリアのギャング集団をモデルに、手段を選ばず首都征服に躍起になる男たちを描く。発射されるはずの銃は発射されず、発射されないと思われた銃は発射されたりしながら、余分な感傷を振り切り物語は疾走。ややあざとい音楽の使い方が2時間半の長さを忘れさせる。ヨーロッパで息も絶え絶えの政治&犯罪映画に一筋の光。監督はミケーレ・プラチド。 (瑞)
●Le Passager
デュペロン監督の『美しい人生』、シェロー監督の『ソン・フレール—兄との約束』で注目された俳優エリック・カラヴァカの処女監督長編。兄から支配されて育った主人公(カラヴァカ)が、兄の自殺をきっかけに過去をそして自己を見直す日々が描かれる。ベテランの役者陣に助けられ主人公の内面はうまく描けているが、兄の元恋人(ジュリー・ドパルデュー)の人物像がその役割の重要さに比べて希薄なのが残念。(海)
Anne Consigny (1963-)
映画『Je ne suis pas la pour etre aime』で、堅物の中年男性にタンゴを指南するフランソワーズを演じたのがアンヌ・コンシニーだ。本作でセザール主演女優賞にノミネートされ、大御所ナタリー・バイ、イザベル・ユペールらと賞を争ったばかり。一方、現在公開中の新作『Du jour au lendemain』は、「一夜にして」冴えない日常が反転する男を描いたコメディで、彼女は離婚調停中の妻に扮している。だが『Je ne suis pas la…』の成功後、現実に「一夜にして」スターの座についたのは、アンヌ・コンシニーその人であった。
デビューは早く、10代からTVドラマに出演してきた。ピーター・ブルックやコメディー・フランセーズの舞台でも活躍したが、徐々に女優活動は失速する。「27~30歳のころ、私はどん底にいた。仕事は途絶え、職業を変えるため勉強も始めた。夢は終わったのだ。人は私を憎んでいるのだと、攻撃的にもなった」。だが30代終わりに自ら希望して演技指導を受けたことが転機となり、映画の端役をつかむ。「自分が世界の中心でないことを知った日に、私は完治した」。
はにかんだ少女のような微笑みと、慈愛に満ちた母親のような瞳が、違和感なく同居する。42歳の新しいスターは、今やTVや映画で華やかな活躍が約束されている。(瑞)