SNCMの長期ストライキが終結。

 9月20日から24日間続いたコルス・地中海海運公社(SNCM)の民営化反対ストは10月13日、「ストを中止し破産を避ける」か「破産してもスト続行」かの選択でスト参加者の87%が前者に投票。ストで封鎖されていたマルセイユ自由港のピケも解けたが、ドヴィルパン首相にとって初の公務員組合との衝突で、このあとフランス電力公社EDFの民営化を控え、首相の正念場はこれから。
 SNCMは1976年、当時のシラク首相が助成金付き(年間6000~7000万ユーロ)で発足させた海運公社。96年にイタリア系民間海運会社コルシカ・フェリーのニース・バスティア間運航開始により20年間の国営独占市場が崩れ、SNCMは年々利用者が減っていた。コルシカ・フェリー社(社員1200人、SNCMは2400人)はコルス・本土間を5ユーロという低額運賃でSNCMを引き離す。政府は出血続きのSNCMへの増資を繰り返し、15年間で12億ユーロを注ぎ込んでいる。
 SNCMの民営化はラファラン前首相時代からの課題で、ドヴィルパン首相にしろペルベン運輸相(前法務相)にしろ、同問題、ましてやコルス独立派から出たコルス労働者組合STCの存在はまるで寝耳に水だったよう。9月27日、STC組合員がマルセイユでバスティア行きフェリーを乗っ取り海賊なみの行動に出、28日アジャクシオの県庁にロケット弾を打ち込むなど闘争が激化。
 同日ペルベン運輸相が、3500万ユーロでButler Capital Partners社(FLOグループ所有。バトラー社長はドヴィルパン首相とENA同窓生で旧知の仲)へのSNCMの売却と、職員2400人中約400人の削減計画を発表し、労使闘争の火にさらに油を注ぐ。
 民営化に反対する主要組合CGTは、国が過半数51%を所有することを要求。STC組合は地元労働者優先の地方自治体による運営化を主張し、本土との分離指向を強調。
 二転三転する労使交渉にしびれを切らしたブルトン経済相は最終妥協案を突き付ける。負債額2億ユーロのうち国がまず1億1300万ユーロの穴埋めをし、SNCMの譲渡額3500万ユーロのうちバトラー社は38%、Veolia Connex社(欧州大手運輸会社)は28%(営業権)買収し、国が25%、残りの9%は社員の所有に。そして約400人の人員削減は解雇でなく関連会社への異動とする。
 この長期労使争議で、組閣4カ月目のドヴィルパン首相の統率のぎこちなさに加え、ペルベン運輸相とブルトン経済相の歩調の乱れや見解のずれが表面化し、閣内、与党内でも後味の悪さが長引きそう。(君)

 

D i c o

détournement (デトゥルヌマン 男性名詞) détournerは「迂回させる、そらす、方向を変える、逸脱させる」という意味を持つ動詞。そしてその名詞がdétournementで、本来の行き先や目的、使いみちからそれているという意味で用いられる。資金を横領すればdétournement de fondsとなるし、職権乱用はdétournement de pouvoir。9・11事件のごとく飛行機を乗っ取って行き先を変えさせたりするハイジャックはdétournement d’avion。コルシカ島のバスティア沖で起きたようなシージャックはdétournement de bateauとなる。未成年者と性行為を行ったりすると相手の親からdétournement de mineurと訴えられることになる。(真)