Fromage blanc a la compote de mangue
友人夫婦を招待し、わが家の4人も入れて6人分と、デザートにマンゴーを3個買っておいたのだが、急にミュージシャン仲間も押しかけて来て9人になってしまった。さあ大変、マンゴー3個では足りない。そこでマンゴーを砂糖煮compoteにし、フロマージュ・ブランと組み合わせるデザートに変更。
鋭利なナイフを使って、マンゴーの身を種と皮から切りはずし、さいの目に切り分けていく。これを鍋にとり、マンゴーの甘さ加減にもよるが、砂糖を大さじ3杯ほど加えたい。ライムあるいはレモン1個分の搾り汁、水大さじ4杯ほども加えて中火にかける。ぐつぐついってきたら、火を弱火に落とし、底に焦げつかないように木のヘラで絶えずかき混ぜながら、煮込んでいく。20分もたつと、マンゴーはすっかり柔らかくなっているだろう。このままでもいいけれど、今回はミキサーにかけてなめらかな仕上げにすることにした。ラム酒を加えればさらに香りがよくなるだろう。固すぎるようなら、水を足しましょう。冷蔵庫に入れて冷たくしておく。
薄切りのアーモンドをプレートに並べ、きれいな焼き色がつくまでオーブンの上火であぶっておく。
冷蔵庫から取り出したフロマージュ・ブランを大きなボールにとり、固めに泡立てた生クリームcrême chantilly(559号参照)を、ふっくらとするようにゆっくり丁寧に混ぜ合わせていく。
カクテルグラスがあったらベストだけれど、なかったらふつうのグラスでも構わない。まず、マンゴーのコンポートを敷き、泡雪のようなフロマージュ・ブランと生クリームのミックスをそっと置く。さらにあぶったアーモンドを散らし、シナモンパウダーをさっと振ればでき上がり。
軽く、冷たく、さっぱりとした口当たり、そしてマンゴーの風味が口の中に広がっていく。友人たちも、この即興デザートに「ブラボー!」と言ってくれた。(真)
マンゴー3個、フロマージュ・ブラン600g、生クリーム20cl、ライムあるいはレモン1個、薄切りアーモンド適量、ラム酒少々、シナモンパウダー、砂糖
●fromage blanc
fromage blanc(fromage frais)は、ミルクに乳酸菌を加えて凝固させたフレッシュチーズのこと。羊、山羊の乳からも作られるが、スーパーで売られているものはほとんど牛乳が原料で、乳脂肪分20%くらいから70%くらいまでのさまざまな種類が並んでいる。乳脂肪分が高く、なめらかな口当たりのものには、生クリームが混ぜ入れられていることが多い。
フランス人は、砂糖を加えたり、あるいは果物のコンポートやジャムを添えて簡便なデザートにする。手間をかければチーズケーキや、さまざまなお菓子を作ることもできる。きざんだシブレットなどを混ぜ入れ、皮ごとゆで上げたジャガイモpommes de terre en robe des champsに添えるのも定番だ。好みのスパイスやハーブを混ぜ入れてドレッシングを作ることもできる。魚介類や肉料理用のソースにも、生クリームのかわりにフロマージュ・ブランを使えば、軽く仕上げることができる。
●フロマージュ・ブランのソース
ゆでジャガ、それに色とりどりの生野菜をディップしやすいように切り分け、フロマージュ・ブランをベースにしたソース2種類を添えてみよう。一つはシンプルにハーブ入り。シブレット、パセリあるいはコリアンダーなど好みのハーブをみじんに切る。ボールにフロマージュ・ブランを大さじ6杯ほどとる。塩、コショウで味を調え、ビネガーを小さじ半杯ほど加える。フロマージュに酸味があるので控えめにしたい。あとはハーブを加えて混ぜ合わせるだけだ。ビネガーのかわりにマスタードを加えてもいい。もう一つはルイジアナ風。フロマージュ・ブラン大さじ6杯に、トマトケチャップ大さじ2杯、ウースターソース小さじ1杯を混ぜ入れ、塩、コショウで味を調え、最後に好みの辛さにタバスコを垂らすだけだ。コニャック少々を加えればさらにうまくなる。
●Mangue マンゴーの選び方、切り方
マンゴーもシーズン。ボクは中華食品店へ出かけ、指で押してみて柔らかくその指を押し返すようなものを選び、翌日食べることにしている。簡単なのは、お店の人に「今晩用」などと言って選んでもらうこと。アフリカ食品店のマンゴーには、ときどき繊維質がきついものがあるので要注意。切る時は、実の真ん中にある大きく平たい種にそって包丁を入れて二つに切り分ければいい。それをメロンのごとく切り分けてもいいし、格子状の切れ目を入れてしなわせれば、中華レストランでおなじみのハリネズミスタイルになる。(真)