Isabelle Chelley ロック専門ジャーナリスト パリの街並みで十分。

 イザベルさんの平日は、新譜の視聴に始まって、編集者との打合せ、取材や記事の執筆、そして夜には決まってコンサートへ繰り出す、という音楽漬けの日々。空き時間は、バスチーユ界隈の小道へ、掘り出し物のCDを探しに出かける。
 座右の銘は〈オリジナルであること〉。ちょっぴり風変わりでユニークな女性だ。もくもくと立ち上るタバコの煙に大ジョッキのビール、マッチョな世界といわれるロック業界において、時には罵倒を飛ばしたり、大酒をかっくらったりと、豪快な一面を持つ。だが、一歩内に入ると、編み物や人形収集など、女性らしい趣味も。肌身離さず持ち歩く〈ブライス〉人形は、ミック・ジャガーやマリリン・マンソンの取材にもお供した仲だ。17年前からベジタリアン。「BOBOの感覚は嫌いよ。彼らは自由で流行の先端にいるつもりでも、実はあらゆる規定コードに左右されているんですもの」。しかし、自らをスノッブでパラドックスな人間だと言い切る。
 都会が好き。街を歩き回り、変化の波に身をゆだね、新発見に心躍らす。バカンス先に選ぶのは、NYやアムステルダム。「私にとっての散歩とは、都会の散歩。自然はパリの街並みと、自宅の観葉植物で十分。田舎に行くと、3時間で窒息しちゃいそうになるの。まるでラ・フォンテーヌの寓話に登場する都会のネズミのようにね」と笑う。
 そんな彼女の楽しみの一つが、自宅のサン・マルタン運河界隈から、パリを横断してアリーグル市場へ向かう、週末の小旅行。「蚤の市に行く感覚で、食料品の買出しもして帰ってこれる、一石二鳥の旅」。広場の一角に無造作に並ぶガラクタの山から、とびきりの掘り出し物を発見するのは、興奮の一瞬だそう。パリで最も好きなのは、自由でコスモポリタンなところ。「パリは地区ごとに多彩な魅力があって、その日の気分次第で、異国の街へタイムトリップできるのが素敵」。インド、アフリカ、中国の食材店で買い物し、創意溢れるフランス料理を作る。アメリカ風ブランチと、日本茶でのティータイムがお気に入り。自由な発想の生活が楽しい。(咲)

●Le Grenier Voyageur
 イザベルさんが「パリ一のマルガリータを味わえる」と太鼓判のカフェ。オリエンタルなムードの店内は、地元の常連客で賑わう。日替わりメニューは、子羊のローストのような定番料理や東洋風にアレンジされた料理が並ぶ。豊富なカクテル(6.50€)からアペリチフをとるのもおすすめ。シェーブルと蜂蜜のサラダや、チーズケーキなど各種デザートも美味しい。(咲)

3 rue Yves Toudic 10e 01.4202.2550

M。 Republique 月~金10 h~2h、土・日17h ~ 2h