社会党内で、トップの座に立つオランド書記長よりも実力者とみられているローラン・ファビユス国民議会議員(58)は、9月9日、現状のままでは欧州憲法批准に反対と、テレビで発言した。オランド書記長をはじめ批准賛成派が過半数を占めている社会党は、党内の議論を抜きにしたこの発言に大混乱。「次期大統領候補になるためのスタンドプレー。まったく無責任」と批判が高まった。しかしファビユスは「どうしてこれほど騒ぎ立てるのかわからない。社会党は議論ができる大人の党だと思っていた」と涼しい顔。 1946年、パリの16区に生まれる。エリートコースを歩み、32歳で国民議会議員に。故ミッテラン大統領に可愛がられ、研究・産業相を経て、1984年、弱冠37歳で首相に任命され、左派路線から中道に近い経済政策を進め、ミッテラン大統領再選の下地を作る。その後も社会党書記長や国民議会議長などの要職を占めてきた。 ファビユスは、2007年の次期大統領選への野心を隠さず、この機にオランド書記長と一線を画そうという計算だろう。(真) |