フランスやパリがぐ~んと近づいてくる、 この一冊。

フランスの日常の些細なこと。

Philippe DELERM LA PREMIERE GORGEE DE BIERE ET AUTRES PLAISIRS MINUSCULES

1997年に出版されたフィリップ・ドレルムのベストセラーから34の短い文を選び、俳優のジャン=ピエール・カッセルが朗読しているCD2枚組。一つの文の朗読時間は2、3分ほどだが、遊ぶ心いっぱいのフランス語で、季節の流れにそいながら地方都市の雰囲気をみごとに感じさせてくれる。著者は、日常の些細なこと、その移ろいやすい一瞬一瞬を、ノスタルジーをこめながら文章にとどめることに成功している。まわりのオブジェや何気ない仕草を観察しながら表現する透明な文体は、ユーモアにも満ちている。ビールをごくりごくりと飲んでいくように、このCDをすこしずつ味わってほしい。聞き取りにくい人は、本を読むとわかりやすいかもしれない。(ベルナール)

C’est le contraire du vélo, la bicyclette.
Une silhouette profilée mauve fluo débale à soixante-dix à l’heure: c’est du vélo.
Deux lycéennes côte à côte traversent un pont à Bruges: c’est de la bicyclette…
Extrait de “la bicyclette et le vélo”

Gallimard社
CDは18€
本は11.90€

邦訳は『ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ』
高橋啓訳 早川書房 1575円(税込み)

二人の孤児のフランス一周。

Pierre NORA編 LES LIEUX DE MEMOIRE
フランス人は自分の国を誇りにしている。変化に富んだ風景に恵まれた、世界でも一番美しい国と思っている。自然美に引けを取らない歴史も持っている。歴史家ピエール・ノラが編さんしているこのシリーズは、重要な場所、できごと、シンボルを通してフランスの文化的ポートレートを描きながら、それを証明している。このシリーズの著者たちは、フランスを理解しようと思ったら、ツール・ド・フランスのようにフランス人があがめている事柄を把握する必要があるとしているが、それは一理あることだ。またフランス国歌〈ラ・マルセイエーズ〉やオンドリといったフランス人にとってのシンボルにも触れている。19世紀末に出版され、数世代にわたって読み方の教科書として使われたた『二人の子どもたちによるフランス一周』という本が演じた影響力も忘れてはいない。孤児二人が、当時ドイツ軍に占領されていた故郷のアルザス地方を離れ、輝けるフランスを発見しつつ、失われた誇りを取り戻していく。
このシリーズでフランスの歴史を見直すことができるだろう。(クロード)

 

Gallimard社
全3巻
各27.50€

パリの建築を見る眼が変わるだろう。

福井憲彦・稲葉宏爾 パリ 建築と都市パリの街を歩いていると、街によって建物が少しずつ違っていることに気づく。ちょっとスタイルが違う建物がごちゃ混ぜになっていることもある。石造りの都市だから簡単には壊れないせいなのかなあ、と思っていると、すごく過激な大改造をやっているところもある。あっ、これはなあにと不思議な気持ちを起こさせる建物がある。大学都市のスイス館がル・コルビュジエ設計だったりする。19世紀末にパリを大改造したオスマン男爵の名前くらいは知っているけれど、こんなパリの建築についてのさまざまな疑問について答えてくれる本はないのかなあ、と思っていたら出会った一冊。
前半は「建築でたどるパリの歴史」で、歴史につれて、君主たちや政治家の意向で、あるいは時代の要望で、パリという都市がどんなふうに変貌してきたかがわかりやすく書いてある。後半は「歩いて眺めるパリの町と建築14コース」。手にとってきれいな写真を見ているだけでも楽しいけれど、実際にこの一冊を抱えて歩いてみると、パリの建築に対する見方が、少しずつでも深まってくる喜びを味わうことができる。「自分なりの都市と建築のガイドを、描いてみてほしい。それによってパリの魅力も現代都市の問題も、よりはっきりと見えてくる」と著者二人は序文に書いている。(真)山川出版社 本体2800円+税

50年代のパリがよみがえる。
Leo Malet/Tardi
CASSE-PIPE A LA NATION 姓はビュルマ、名はネストール。職業は私立探偵。今回の調査は、当時ナシオン広場で催されていたラ・フォワール・デュ・トローヌ(移動遊園地)で起こった事故。ネストール・ビュルマは、真相を求めて、リヨン駅、ベルシーのワイン倉、ラッペ河岸の死体置き場など、12区を行ったり来たりする。タルディがレオ・マレの探偵小説をコミック化したのは『Brouillard au pont de Tolbiac』(13区が舞台)、『120, rue de la gare』(10区が舞台)に続いて、これが3作目。この作品でもビュルマは元気いっぱい…、彼の話し言葉がパリの雰囲気に引き込んでくれる。「そこを出ると、足が棒のようだった。そこで、最初にぶつかったカフェでパスティスを一杯あおった」タルディの絵で、僕らは50年代のパリの下町のど真ん中。街頭の様子も当時に忠実だ。(ダン)

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