前号で扱った過剰勾留問題とは別に、数回仮釈放された元服役者2人の連続暴行殺人再犯容疑が7月始めに浮上。
一つは昨年6月、少女誘拐未遂でベルギーに勾留中のミシェル・フルニレ容疑者(62)が、やはり勾留中の妻モニックの供述で9人の婦女暴行殺害被疑者であることが分かったこと。自称森林監視員フルニレは1982年から84年までに15件の未成年者暴行罪で禁固7年刑に。減刑措置で服役3年後の87年に出獄。モニックとは勾留中に新聞の5行広告で知り合い結婚。以来、彼女は夫の命令に従い路上で少女や若い女性に接近し車に乗せ、夫の誘拐暴行殺人に手を貸す。フルニレ容疑者は11件の婦女暴行殺害容疑のうち9件を認め7月4日、警官が仏アルデンヌ県の城(獄中仲間の金を奪い現金で購入し、彼の妻殺害の疑い)の敷地から2人の婦女(22、12)の死体を発掘。同夫婦はパリ周辺からブルゴーニュ、ロワール、北部アルデンヌ、ベルギー南部へと犯行の場を移し、2国の調査の手を逃れていた。フルニレの母親は私生児、彼が12歳の時、両親の離婚と、幼少期のトラウマが彼を「処女願望充足」に向かわせたのではと、86年精神鑑定は報告。
もう一つは、アルザス地方で6月22日に女性死体(38)、28日に少女死体(11)、7月3日、一週間前に自転車走行中行方不明になったジュリーさん(14)の死体が、それぞれナイフで下腹部を突き刺され小川の中から見つかった事件。死体発見現場はどれもピエール・ボダン(57)が起居するキャンピングカーから20km以内で、彼に疑いがかかる。彼の車からジュリーさんの血痕が検出され
7月1日、ボダン容疑者を逮捕。が、彼はこれらの容疑を否認。ボダンは16人兄弟の7番目に生まれ、1970年以来強盗・殺人未遂他の容疑で過去35年間、拘置所と精神病院を往復。92年に病院から脱出し禁固20年刑が確定。彼は精神薄弱分裂病と鑑定されたが精神科医の治療を受けることなく、模範的服役者として3月15日に仮釈放されたばかり。
性犯罪で勾留される者は年間約1700人(全体の24%)、その1%が出獄後5年以内に再犯。が、刑期終了者(13%)より減刑者(6%)の方が再犯率が低い。性犯罪の再犯を防ぐために、減刑措置の見直しや精神科医の増員(最低800人)、行刑裁判官と精神科医の協力態勢の確立、危険性の高い保釈者の監督(電子監視器の装着)などが緊急問題になっている。(君)
(女性名詞)
6月28日、米英の暫定占領当局からイラクに主権が移譲された。フランス語で主権は
souveraineteといい、主権移譲はtransfert de souveraineté、その形容詞souverainは「主権を持つ」ということだが、「究極の、最終の」という意味にもなり、裁判所の最終判決はjugement souverain。
また「最高の、比類ない」という意味もあり、une inter-prétation souveraine(比類ない演奏)と使われたりする。
今度の欧州選挙でも、ドヴィリエやパスクワなど、欧州連合に批判的でフランスの主権を第一とするsouverainistes(かなり新しい単語で辞書に出ていないことも多い)たちが立候補した。(真)