毎年3月、ポンピドゥー・センターで “Cinéma du réel” というドキュメンタリー映画祭が開催されているが、 今年は、イスラエルの映画監督エヤル・シヴァンが、パレスチナのミシェル・クレフィ監督と撮った “Route 181, fragments d’un voyage en Palestine-Israël” の上映が中止された。中止理由は「治安のため」だが、ゴダール監督らは「このドキュメンタリーの底に流れるシオニズム批判への検閲」と強く抗議。 エヤル・シヴァンは、1964年、イスラエルのハイファで生まれ、エルサレム育ち。高校時代は「イスラエルに平和を」という左翼のグループに加盟して闘う。イスラエルがレバノンに侵攻した1982年には、徴兵を拒否。1985年パリへ。2年後に、ジェリコに近いパレスチナの難民キャンプを撮った作品が “Cinéma du réel” で高く評価される。それ以降も、フランスとイスラエルの間を行き来しながら、「イスラエルの現実は、二つの国が共存しているということで、これは変わることがない」と平和への道を探るドキュメンタリーを撮り続けている。(真) |