マグナム・フォトの戦争の写真と穏やかで平和な光景を描くナタリー・ノヴィのパステル画、そして戦争を嘆き、平和を謳う詩人たちの言葉。本書はこれらが見事に「織り交ぜ」られた素晴らしい本-アルバム。戦争の写真と平和なパステル画が30編の詩に重なり合わさる。
写真は第一次世界大戦の塹壕から、スペイン内乱、第二次世界大戦、原爆被害者を経て、ベトナム反戦運動、ルワンダやチェチェン、コソボ、そしてイラクを舞台とする。
パステル画に描かれるのは、雪だるまを囲む少女たち、大の字になってかかしのまねをしたり、体操をする少年たち、広大な青空、お父さんとお母さんと手をつなぐ少女、芝からのびる虹、古都で、自然の中で戯れる子供たち。
そして30編の詩の作者は、アポリネール、コクトー、ボリス・ヴィアン、ユゴーなどのフランス詩人だけでなく、ドイツ、ベトナム、トルコ、ボスニア、イスラエル、パレスチナなどの詩人たち。
発音すると、「On aime guerre que la paix」(平和より戦争が好き)と同じこの本のタイトル、「On n’aime guere que la paix」(訳:平和より好きなものはほとんどない)。この対照がまた、子供も大人も、全ての読者を平和のポエジーに敏感にさせることだろう。(樫)
Jean-Marie Henry, Alain Serres (編), Rue du monde, coll. “des poemes dans les yeux”, 2003, 50p., 17€