ヌイイ市の北、セーヌ川の中洲Ile de la Jatteにある “Quai du Blues” は、アメリカの本格的なブルースが聞ける数少ない場所として知られている。外壁に飾られた巨大なポスター、鏡張りの階段、ビロードのカーテン、低い天井、薄暗いテーブルランプ。ディナーショーの行われるキャバレーの雰囲気がかもしだされている。 閑散としたヌイイの一角なので、7年前の開店当時は「わざわざ来る客はいないだろう」と悲観的な声が多かったという。しかしオーナーのヴァシェ氏自らが何度もアメリカに足を運び、自分で直接聞いて気に入ったブルースの歌手と出演交渉をし、ここまで連れてくることにより、「本場のブルースを聞くのなら、ヌイイまで行く価値がある」といわれるまでになった。 ステージには多国籍のミュージシャンからなるホームバンド。それをバックに歌っているのは、アフロ・アメリカンとも表現される、アフリカのルーツを持つアメリカの黒人歌手。食事はフランス料理のフルコースで、誕生日や接待など、特別な日に訪れる客が多いようだ。 パリの喧噪を離れ、緑にあふれた川沿いをゆっくり散策し、夜は食事と音楽を楽しむ。心しみいるブルースをダイナミックに明るく歌う、アメリカンスタイルの音楽を満喫するのにいいお店だ。(尚)
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*食事とコンサートのコースは約100€。 |