シラク大統領がパリ市長・RPR(共和国連合)総裁時代に関与していたとみられる党のヤミ資金や架空雇用疑惑などが、大統領選挙(4/21, 5/5)を目前に浮き彫りになるなかで、大統領はそれらをふり切るように2月11日、4度めの立候補宣言、70歳で再選に挑む。TF1のインタビューで「わたしを導くものはパッション、フランス(人)へのパッションであり…イデオロギーの候補者ではありません」と、暗にジョスパン首相の立候補に水をさせば、「権力へのパッション」と揚げ足をとる社会党陣営、ジョスパン首相のキーワード「望み」で対抗。 大統領は「パッション」という歯切れのよい文句で選挙前線の厄払いをしたいのだろう。ところが、86~94年パリ、イル・ド・フランス、オ・ド・セーヌ県 (パスクワ元内相の本陣)のHLM(低家賃住宅)建設会社からRPRが吸い上げたヤミ献金疑惑のカギをにぎるシュレール元同県議・HLM総裁(54)が2月5日、逃亡先のドミニカ共和国から帰国。それも国際指名手配されていた父親の亡命先を息子が暴露したというからただ事ではない。シュレール氏は「一人で追求の槍玉にあがるのはもうたくさん」と7年間の逃亡生活に終止符を打ち、サンテ刑務所に拘留された。RPRにとって彼の帰還はまさに「臭いもののふたを開ける」(ジュペ前首相) にひとしい。 HLM疑惑は、1月14日に辞任したアルフェン予審判事が、94年以来様々な妨害にもひるまず調査してきた疑惑の一つだ。同予審判事への嫌がらせは、盗聴・尾行から、捜査権のはく奪、パスクワ配下のシュレール氏が同判事の義父に100万フランをつかませ判事を落し入れようとした裏工作まで、政治的妨害は数えきれない。そしてHLM疑惑の頂点に君臨するとみられるシラク大統領への参考人としての聴取願いは、大統領の免責特権により「無管轄」と却下され、不可能に。アルフェン予審判事がHLM疑惑調査の苦闘を綴った「7年の孤独」(Dano鼠社)が3月6日に発行される。これもシラク大統領、RPR陣営にとって時限爆弾の一つだ。 もう一つは、シラク・パリ市長時代からチベリ前市長時代にまでわたる架空雇用疑惑だ。2月14日付のルモンド紙によると、財政捜査局の調査の結果、83~98年に架空給与の疑いがもたれた242人のうち約60人がその受給者だったことが明らかに。彼らはRPR活動員だったり、議員秘書だったり、シラク元市長兼議員直属の顧問だったり、彼らの給与をパリ市が払っていたわけだ。架空雇用契約書のいくつかにシラク市長自身が署名している。 シラク元パリ市長の名がひんぱんに出てくる疑惑は、イル・ド・フランスの高校校舎建設市場のヤミ取引や私用旅行費240万フランの現金払いなども含め6件が数珠つなぎ。再選すればあと5年間はこれらの疑惑の矢を免責特権ではねのけられる。が、落選したら雲の上の人から一市民にもどり取り調べに答えなければならないだけに必死の選挙戦だ。(君) |
誠実だ – 信頼できる (00/6/9) 誰が当選すると思いますか ? (02/2/12) * Ipsosによる統計。 ( ) 内は調査年月日。(+2%) |