リールでは、ひたすら〈ビールの道〉。
リウール広場 place Rihour から出ている快適な観光ミニバスCity Tourに乗ると、1時間で古いリールの街並(1)から新市街までを見学できて便利だ。
リール市とその周辺には多くの美術館・博物館がある。リール市のPalais des Beaux Arts(2)には、ルーベンス、ゴヤ、エル・グレコ、ドラクロワ、ルノワールなどの絵画や、ロダン、クローデルなどの彫刻が陳列されている。陶磁器はほとんどが18世紀のもので、リールや、オランダ(デルフト)、イタリアなどで制作されたものが集められている。地下にある精密な立体地図のコレクションには圧倒される。ルイ14世時代、フランドル地方征圧後にヴォーバンによって作成されたもので、要塞で守られた町々が、この時代にどんなに重要な役割を演じていたかがよくわかる。
ビールバーの〈Trois Brasseurs〉は自家製ビールを醸造していて、醸造用タンクに囲まれながら、ブランシュ(白)、ブロンド(黄金)、アンブレ(琥珀)、ブリュンヌ(黒褐色)の4種のビールを味わうことができる。カウンターで飲んでいたパスカルさんによれば、フランドル地方には100種類以上のビールがあるという。さらにおいしいビールを求め、友人の車でヴィルヌーヴ・ダスクVilleneuve d’Ascqにあるサンス農場ferme du Sensまで出かけてみた。ここでは、数年来、ルプートルさんが無農薬栽培のモルトとホップを使ったビールMoulins
d’Ascqを醸造しているのだ。 4月から12月までの毎土曜日に見学できる。フランス初の市民共有の菜園、ルトルヴァイユ園Jardin des Retrouvaillesは、2000年に誕生した。この町の住民たちが区域の都市計画に反対して団結したことがきっかけになっている。現在は15家族がこの菜園を耕し、収穫したものを分け合っているが、それ以上に大切なのは、住民たちの出会いの場になっていることだろう。リール市の隣町ルーベにはたくさんの紡績工場があった。そのなごりが、世界で初の無人地下鉄で簡単に行ける〈magasins d’usines〉と呼ばれる衣類のアウトレット・センターだ。McArthur-Glen店ではラコステ、キャシャレルなどの品を30%引き(セール中
には最大60%引き)で買うことができる。
(ダン)
ムール・フリットはリールの名物料理です。