パリでもジェンベ族がふえている。

ェンベの名手、バングラさん。ジェンベの演奏は、手と太鼓の長いつきあいだ。そのつきあいが深まるにつれ、いい音になってくる。
 リーダーとして初のCDを出したばかりのモハメッド・バングラさんを、パリ郊外モントルイユ市の自宅に訪ねてみた。「モントルイユ市にはマリ人がたくさん住んでいるから、アフリカにずっと住んでいるような気分になったりする」と、モリ・カンテとのリハーサル時間が迫っているにもかかわらず、バングラさんはにこやかにインタビューに答えてくれた。

ジェンベはどこの楽器ですか?
 セネガルや象牙海岸のミュージシャンたちもジェンベを演奏するようになったけれど、もともとはギニアの楽器。マリンケ族はジェンベというけれど、僕らスースー(バガ)族は、イェンべyemb獅ニ呼んでいる。

ジェンベはいくつくらいからたたきはじめたんですか?
僕の家に音楽家はいなかったけれど、ギニアにはどの町にも素晴らしいジェンベ奏者がいるから、見よう見まねで6歳くらいからたたきはじめた。音楽家になることを真剣に考えはじめたのは15、6歳のころだった。先輩のママディ・ケイタからもいろいろと教えを受けた。一人前になってギニア国立バレエ団で演奏するようになり、1986年にバレエ団の公演で来仏。フランスが気に入って最初はボルドー市に住んでいたが、モリ・カンテやパパ・ウエンバなどとの共演の仕事が増えるようになり、モントルイユ市に引っ越した。

ギニア国立バレエ団では、ジェンベと踊りの掛け合いがみごとですね。
 ジェンベは独奏楽器ではなく、村祭りなどで踊りがあると登場する太鼓。ケンケニ、サンバン、ドゥヌンバといった太鼓と共演するのがふつうだ。フランスに住んでいろんなミュージシャンと共演しながらジェンベの可能性を探すのはとても刺激的。

ジェンベのむずかしいところは?
 踊りやほかの楽器に敏感に、そして瞬間的に反応するためには、手首の柔らかさがなによりも大切。手首次第で太鼓への当たり方も微妙に変化し、音が違ってくる。

今度のCDはどこで録音されたのですか?
ギニアで録音。といってもスタジオではなく、ピローグでコナクリ沖合のルーム島に渡って自然の中で演奏し、そのままを音にした。これまではマリンケ族のジェンベ演奏しか紹介されていなかったので、僕のアルバムでは、女性だけが演奏を許されている打楽器も加わったバガ族の音楽を聴いてもらうことに努めた。

これからの夢は?
 夢? いつか日本に行ってみたい。ジェンベを教え、和太鼓と共演してみたい。そんな企画をしてくれる人はいないかなあ。

バングラさんのジェンベには、セセ(les oreilles耳)と呼ばれる金属片がついている。そこにはめ込まれた小さな輪が太鼓の振動に共鳴して揺れ、ジェンベの音を豊かにする。


長年のジェンベとのつき合いで、手のひらは太鼓ダコでいっぱい。


ジェンベは専門店で選びたい。ジェンベは生き方までかかわってくる楽器なんだ。
2年前に “アフォ・カン(喜びを演奏する、という意味)”をオープンしたが、単にジェンベなどの民俗楽器を売っているお店とは考えていない。楽器を組み立てたり、修理したりするアトリエも兼ねているし、買った人に適当な教室を紹介したり、ミュージシャンが集まってくる場であってほしいと思っている。ママディ・ケイタが言っているように、ジェンベは単に木と皮でできている楽器でなく、生き方がかかわってくるものなんだ」とオーナーのジャン=シャルル・ペローさんは語る。
アフリカの楽器でうずまったお店の奧にアトリエがあり、ジェンベの木製の胴が所狭しと並んでいる。「ジェンベの胴は、ドゥグラ、ランゲといったとても堅い木から作られていて、マリや象牙海岸から直送されてくる。音の善し悪しは木の質にかかっている。上に張られる皮はアフリカ産のヤギの皮」ペローさんによれば、これだけジェンベに人気が出てきたのは、4、5年前からだという。当初はジェンベをセネガルの楽器と思っている人も多かったが、今では、ジェンベについての知識も深まり、ギニアやマリの楽器だということは常識になっているとのこと。「ママディなどの努力のかいもあって、流行という段階を通り越して、ジェンベがいろいろな可能性をもったひとつの楽器として定着してきたことが、いちばんうれしい」
以前はのみの市やアフリカ名産店などで売られていたジェンベだが、最近はふつうの楽器店に並ぶまでになった。最初に買うときは、どんなことに気をつけたらいいのだろう。「のみの市などで売られているジェンベは、すぐに胴に裂け目が入ったり、皮が破れたりで、ここのアトリエに持ち込まれることが多い。初心者は、低音域のパターンをたたく太いジェンベや高音域でソロをとる小さいものは避け、クラシックと呼ばれるタイプを選ぶこと。1300フランくらい出せば、長くつき合える楽器に出会えるはずだ」
*Afo Kan : 16 av.de Corbera 12e
M。Reuilly Diderot 01.4474.0052
13h-19h30 日・月休
ジェンベの胴が並ぶアトリエで。



D. Gentonの “Djembefola”より



ジェンベの演奏に欠かせないドゥンドゥン太鼓(ドゥヌンバ、サンバン、ケンケニ)が後ろに並んでいる。これらの太鼓の大切さも理解されて演奏する人が少しずつ増えている、とペローさんは満足そう。

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