ナタリーとダニエル姉妹は、5年前からここに住んでいる。16区の〈町内の活気〉に欠ける、詩人の名の通りにあるアパートを後にして、商店がずらりと並ぶこの通りにやって来た。居間からは3本の通りが交差して形成された小さな広場が見え、そこで絶え間なく人が蠢いている。「スーパーでしか買い物しないなんて味気ない。パリ全体がそんな風になったら悲しいな。時勢に逆らうのは難しいと思うけど、この地域の住民は周辺の商店を守ろうという意識がある」とダニエル。パン屋、薬局、肉屋、中古レコード屋、レストラン。ナタリーはビデオゲーム屋も気に入っている。愛煙家のふたりには広場のタバコ屋もありがたい。不動産屋の友人の友人が紹介してくれた物件だ。 プロダクション会社の仕事をするナタリーは、田舎の家で過ごすことが多いが「ひとつ文句を言わせてもらえば、ここはうるさい」。「そんな風に文句を言い始めたらキリがないでしょう」と妹のダニエル。階下のパン屋が仕事を始めるのは朝の3時。中庭に面した厨房で、あたかも日中のようにラジオのボリュームをあげてパンの仕込みをするから目が覚めてしまうのだそうだ。それをいえばダニエルも同じ条件なのだが、彼女はいったん眠ると何も聞こえないのでトクしている。パン屋の音は、建物のほかの住人たちと一緒に苦情を言ってからマシになった。しかし明け方5時くらいになると猫がエサを催促しに部屋にやってくるので、姉は熟睡できない。 居間にもバスルームにも花や緑が適度に置かれた高い天井のアパート。白い壁なので外からあまり光が入らないのも気にならない。画家のダニエルの作品が居間に華を添える。 長い廊下が台所とサロンを結んでいる。ダニエルとナタリーの部屋もこの廊下で隔てられ、ちょうどいい距離感。仲良しの秘訣だろうか。(美) |
居間でくつろぐ姉妹。
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果物入りブーケもある。 「花は大好き。週に一回は買いに行く」というダニエルは、アンドレさんの店の常連だ。お薦めは木曜日。ランジスでの仕入れが水曜日で、木曜日は花が豊富でディスプレーも整っている日なのだ。 実がついたままのオリーブと花を混ぜて作るブーケは人気商品。キャベツや蓮の実も品よくアレンジしてくれるし、今の季節だと小ぶりのミカン入りブーケなども登場 (200~250F)。サクランボくらいの大きさのリンゴをふんだんに使ったクリスマスのリース、燭台を苔で覆ったものも素敵だ。不幸があった時は、ツタで十字架を作るなど、状況に応じてひねりの効いた〈ブーケ〉を作ってくれる。結婚一周年のカップルに贈る綿の木などは、予約したほうがいい。「旬の花を揃えています。今ならアマリリス、椿とか」。アルノーさんは丸いブーケ、アンドレさんは〈空間に広がる〉ブーケが得意。もちろん冬の風物詩、クリスマス・ツリーも扱っています。(美) *Navellou Fleurs 49 rue Condorcet 9e 01.4878.7890 |