…という名のシカゴにある不動産屋が見舞われる空き巣事件を中心に、事件前後の従業員たちのやりとりが描かれる。不動産業界で働く人には不愉快かもしれないが、作者デイヴィッド・マメットの手にかかると不動産屋もやくざな商売となり、従業員はマフィア一家のメンバーのごとく隠語を話し、彼らに「恐喝」された客はこわごわ売買契約書に署名する。ところが、この空き巣事件が「内部紛争」のきっかけとなる。事件の犯人シェリーは、この不動産屋で昔はやり手として腕を鳴らしたが、老いを重ねるにつれ若い者に追い越され、はした金に目がくらんだあまり仲間を裏切り、長いキャリアを棒に振ってしまう。マフィアの世界だけではなくどこにでもいる気の小さい人間シェリーをミシェル・デュショソワが見事に演じ、脇をジャン=マルク・チボー、クリストファー・トンプソンなどがそれぞれ役柄の個性を出しながらしっかり固めている。演出はマルセル・マレシャル。(海) *Theatre du Rond-Point Champs-Elysees : 2bis av. Franklin D. Roosevelt 8e 01.4495.9810 火/19h30 水-土/20h30 日/15h 50F~180F ★同劇場では12月末までデイヴィッド・マメット特集を開催中。詳しいことは01.4495.9821まで。 |
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● Novecento pianiste ジュゼッペ・トルナトーレによって映画化もされたアレッサンドロ・バリッコの戯曲で、豪華客船の中で産み落とされて捨てられ、その客船から一度も下船したことのないピアニスト、ノヴェチェントが主人公だ。ジャン=フランソワ・バルメール扮するトランペット奏者が、彼の生涯を独白で語っていく。ジャズミュージシャンのアルド・ロマノが作曲した音楽は、バンドネオンとクラリネットによって生演奏され、それが客船の雰囲気を醸し出すための重要な役割を果たすのだが、奏者の衣装、照明や舞台装置など他の要素が (もちろんわざとだろうが) おざなりにされている。それはこのモノローグ劇がいかにバルメールの力量に頼っているか (確かにバルメールは素晴らしい) を証明しているのだが、そのせいで彼の演技は力が入りすぎて空回りしている印象を受けた。(海) *La Pepiniere-Opera : 7 rue Louis-le-Grand 2e 01.4261.4416 70F~200F |