パリのアトリエ開放展 -アーティストのアトリエで作品が訴えかけてくる。

Ateliers de Ménilmontant
シャンソンによく歌われていた20区の下町メニルモンタン街に若いアーティストたちが住み始めた。

「今でもよく覚えている。同じアパートに住むアーティストに誘われて決心したものの、4年前に初参加した時は、ドキドキ。作品を見知らぬ人が見に来るなんて。
でもいざ始まると楽しくてしょうがなかった。特に感動したのは、見に来てくれた人たちの話が聞けること。たとえば古い壁の作品を見ながら、「子供のころ見た情景を思い出す、おばあさんの家でね」などと、彼らの体験や思い出話が自然に出てくる。土・日に来る人は散歩がてらに通り過ぎていく人が多いが、金・月
に訪れてくれる人は、本当に見たい人。だから会話もはずむ。売り上げ?
参加費用がカバーできるくらい。でも私にとっては、人との直接のコンタクトが大きな収益」
マリエルさんは、写真のイメージをコラージュした作品を作る。今年は協会の経理担当者が急な用事で欠けてしまったので、その役割を引き受けることにした。「何ごとも経験。こういう活動をするには、自分も参加して役に立つことが大切」と、とても意欲的。
 舞踏を学ぶため日本に滞在したこともあり、数年前には知人の日本人アーティストが彼女のアパートでいっしょに作品を発表した。今年の7月には東銀座の毛利画廊で個展を開いた。人との出会いが次から次へと大きく広がっていく。はじめて参加した時はとてもこわかった。 
(招待状を準備中のマリエルさん)

地域社会と密接な関係を持つ。
 最近ではトレンディな夜の遊び場というイメージが強いメニルモンタン街だが、昔のパリの下町を彷佛させる一軒家がまだ丘の中腹に残る。また一方的な地域開発により無機質な高層アパートや低所得者用の公団住宅も多く見られる。
“アトリエ・ド・メニルモンタン”は12年前に始まった。この協会の発起人エリアンヌさんとフレデリックさんの提案で、不登校の青少年や失業中の若者たちを、開放展が始まる数カ月前から壁画制作のアシスタントとして雇用。年々深刻になっている青少年問題解決にも貢献している。「仕事を与えるだけでなく、制作過程を楽しく経験でき、また地域社会に密接する活動となるように考えている」と5年来、広報を担当しているキャティーさんが説明してくれた。彼女自身、フランス語をあまり話せない移民に、表現する愉しみを味わってもらうコラージュのワークショップを独自に主催している。
パンフレット、ポスターの制作、プレスとのコンタクト、オープニングパーティーの企画など、雑多な作業は春から始まる。地図の入ったアトリエ一覧表は、三つ折りになり、シールでとめるとそのまま郵送できるアイデア作品だ。20区の区役所が案内所として提供してくれるセンターでは、中庭も利用した展示スペースが設けられ、その会場を訪れるだけでもいろいろなおもしろい作品に出会える。自分の作品の前でプレス担当のキャティーさん。

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