アーティストが自分たちのアトリエをそのまま使っておこなう展覧会は、1984年バスティーユ から始まった。今ではパリ市内を始め、サン・ドニなどの郊外をふくめて、10カ所以上で開催されている。パリ市内で参加するアーティストだけでも1500人を超え、こんなにもたくさんのアーティストが活動していることに驚かされる。
16年経った現在、当初の活気は失われ、マンネリ化しているという批判的な声も聞かれるが、むしろ各主催者ごとに独自の努力がされているのではないだろうか。一年を通じてアーティストをサポートしたり、海外の芸術家との交流をはかったり、地域社会に関ったりなど、幅の広い活動へと変化しているようだ。
アトリエや自宅を開放し、人々と芸術が出会い、地域社会と交わる貴重な数日間。その準備に、たくさんの人々が膨大な時間とエネルギーを費やしている。アパートやアトリエの内装やアーティストの生活を垣間見れるのは、心ときめく。作品の鑑賞はもちろんだが、ぜひ作家たちと直接のコミュニケーションを楽しむ機会として訪れてみたい。(尚)
構成・文 : 角井尚子
ジェニー・ド・ラ・バスティーユに参加のアーティストたち。
(写真は “Génie de la Bastille” 協会提供)