ペタンク・エトセトラ
クラブに入る。
ブリスト(ペタンク・プレーヤー)たちとの交流を楽しむだけなら、広場のペタンクの群れに入れてもらうだけでいいのだが、楽しみ、かつ正式コートデビューの野心を抱く人ならクラブがいい。クラブといっても週に何回練習に出なくてはダメという決まりもなく自由だし、パリ市内には51のクラブがあるから、家のすぐ近くにいいクラブがみつかるはず。最寄りのクラブを知りたい人は連盟へお問い合わせを
(下記参照)。17歳までの子どものためには連盟で教室を開催している。
*Fédération Française de Pétanque et Jeu Provençal (F.F.P.J.P) :
主な大会に関する情報はhttp://www.ffpjp.info/イル・ド・フランス地方の事務所:
9 rue Duperre 75009 Paris
01.4874.6163フランスのスポーツ連盟のなかでは第4番目の規模を誇るペタンク連盟!
ライセンスを持ったブリストが50万人いて、国内の7600のクラブのどれかに属している。これらクラブは県ごとに106の委員会によって統括され、その上に22の地方同盟、トップに連盟本部、という驚くべきピラミッドを形成している。
ブリストを守ってくれるライセンス。
クラブへ行き、年会費を払えば発行手続きをしてもらえる。クラブにより試合や遠征の数が違うので会費も違う。子どもは無料で退職者・女性は割引がある。年会費がクラブを通して連盟に支払われるとライセンスが発行される。年間約3万あるといわれる公式試合ではライセンスの提示が求められるので、ブリストとしての将来を真面目に考えるならライセンスは必須(ライセンス提示無しの非公式試合はconcours sauvageと呼ばれる)。これは保険の役割もあり、自分の球でひとにケガをさせてしまった場合の治療費が連盟によってカバーされたり、メガネを壊した場合に賠償金が出たりもする。
栄誉ある大統領のセーヴル製壺。
ペタンク連盟イル・ド・フランス同盟事務所には、さりげなくたくさんのトロフィーが並べてある。その中でも「これは価値ある」とテロン氏が誇らしく見せてくれたのが、大統領から授けられるというセーヴル製の壺だ。フランス選手権大会は12カテゴリーあり、そこでチャンピオンとなった数々のチームの中から、毎年2チームにこのカップが授けられる。が、何を基準に大統領府がチームを選ぶのかは不明。貴重なセーヴルの壺を囲んでペタンク連盟イル・ド・フランス同盟プレジデントのテロンさん (中央)、副プレジデントのブランケさん(右)、財務官ドドゥマンさん(左)。
フランス以外の国。
ライセンス所持者は日本には約1500人。スペイン約3万、アルジェリア2万5千人。強豪タイに約5000人。オランダ、ベルギーそれぞれ1万人、やっぱりフランスはダントツ (50万人)! 1999年の世界チャンピオンはマダガスカルチーム、次にベルギー。ジュニア部門ではフランスが優勝。他、強いのはイタリアやチュニジア、タイ、フィリピンなど。2000年9月7~10日の世界選手権はポルトガルのファロで開催。
ブリストの友? パスティス。
酒造会社がスポーツイベントのスポンサーになることが禁止されてから、ペタンクは大切なパートナーを失った。以前は重要な大会はパスティス会社がスポンサーになっていたのだ。ペタンク=パスティスのイメージは今でも強いが「ステレオタイプ的偏見だ」と連盟の面々は主張。アルコールの売り上げ43%を占める国民的ドリンクであるパスティスは、しきみの実、またはダイウイキョウ、緑アニスかウイキョウ、リコリスの根によってアルコールに香りをつけたアペリティフ。メーカー、ブランドにより製造法や配分が異なる。原液に水を入れると白くなるのは、温度が下がるとアネトールという成分が不溶性になるからだそうだ。
*「ペタンクとパスティス・ドリンカーたち」という名のこのサイトは、ペタンク関連モノでは一番面白い。
ファニーさんのお尻。
伝統に従えば、13対0で負けたチームはファニーのお尻にキスをして屈辱で傷ついた心を慰めてもらうことになっている。ファニーとはこちらにお尻を突き出して豊かな桃のようなお尻を披露している女性像。起源は19世紀にリヨンのあたりに実在したファニー・デュブリアンさんだという一説があり、これによれば彼女は年のころは30、町のペタンク場でゼロ敗が出ると、負けたチームのメンバーにお尻を見せては小銭を稼いでいた。間違いで子どもを作ってしまうが、貧しかったために子どもを養護施設に引き取られてしまう。悲しみに暮れるファニーは精神病院に入れられ、そこで寂しく死んでゆく。もう一説は、イゼールの山中の生まれでカフェで給仕をしていた大胆な娘さん、とするもので、彼女はゼロ敗者には自分のお尻にキスさせていたが、ある日町長さんがゼロ敗者となり、町民の前でファニーのお尻にキスしたときからこれが伝統となったといわれている。残念ながら今は、ファニーさんなしのコートも多い。
ペタンク・クラブの本部はカフェ。
パリのクラブの半分以上が本部をカフェに置いている。バティニョレーズ・クラブの本部もクラブ専用グランドの向かいにあるカフェ”l’embuscade (待ち伏せ場所)” にあり、クラブのハンコや書類を預かったり、トイレを使わせたり、ボール収納棚があったり、雨宿りしたり、一杯やったりの憩いの場。ライセンス手続きから、区役所との交渉、コートの水撒き、花壇の種まきまで忙しい、「ペタンク・バティニョレーズ」会長のフォアサク氏。