「世界は売り物ではない!」グローバリゼーションに抵抗

 6月30日と7月1日に中央山塊地方、ラルザック高原の中心地ミヨー市で、農民総同盟 (Confédération paysanne) のスポークスマン、ジョゼ・ボヴェと仲間9人の裁判を支える集会が開かれ、5万人を超える人たちが集まった。なぜ「フランスのシアトル」といわれるほど大きな民衆行動に発展したのだろうか。

 1998年1月8日、農民総同盟のボヴェら組合活動家3人が、ピレネー山脈に近い町ネラックにある多国籍農産物加工企業、ノヴァルティス社の倉庫に侵入し、遺伝子組み替えトウモロコシ種子を破壊した。99年8月12日、ミヨー市で建設中のマクドナルドが解体された。その前で集会したラルザック高原の養羊業者とミヨー市の住民たち合計約300人によってである。扉や障壁が解体され、屋根にはペンキで「ロックフォールチーズを守ろう! マクドは出ていけ!」と書かれていた。この「解体作業」をマスコミの一部は「襲撃、破壊」と書いた。だが、じつはまったくそうではなく、村祭りのような家族ぐるみの抗議集会の一環として行われたのだった。

 なぜ、マクドが抗議の対象になったのか? その背景には農産業のグローバル化の複雑な動きがある。96年以来、米国は成長促進ホルモン(発ガン性)入りの牛肉の輸入を欧州に強要していたが、99年に欧州連合(EU)が販売規制を強化、EU各国も輸入認可を凍結した。世界貿易機関(WTO)はこの決定を強く非難したがEUは譲らず、米国が制裁のためにフランスを含むEU諸国からの一部の輸入食品に100%課税したのである。これに憤慨した仏農民たちが抗議行動をとり始めたのだ。予防原則を貫くEUと、米国産食品の輸入を迫る米国との貿易摩擦といえる。

 農産業のグローバル化は、多国籍大企業による農産物市場の支配、地域農業の破壊、食文化の悪化と画一化などをもたらしている。マクドは食文化画一化の象徴としてやり玉に挙げられたのである。

 遺伝子組み替え(GMO)技術が、生態系に決定的な悪影響を与えかねない重大な問題を含んでいることは今や疑問の余地がない。それらを食べ続けたとき抗体などに与える影響が非常に懸念されている。

 ボヴェの住むラルザックでは、成田闘争を思わせるような、軍用地拡大反対の農民闘争が70年代前半に繰り広げられ、以来、反戦・反核、地域農業やオルターナティヴ運動の長い経験を培ってきた。

 WTOによって、健康や環境保全のための基準までが引き下げられ、無秩序な経済のグローバル化が押し進められているのである。だから彼らは叫ぶ、「世界は売り物ではない!」と。(プチ・ポワ)


ボヴェ支援集会中に開催されたフォーラム。P・ブルデューを囲んで文化問題を語る。

世界農薬販売額の上位企業
(96年推計、単位億ドル)

45.1 ノヴァルティス(スイス)
30.0 モンサント(米) 26.4 ゼネカ(英)

世界種子販売額の上位企業
17.2 パイオニア・ハイプレッド(米)
9.9 ノヴァルティス(スイス)
5.5 リマグラン(フランス)

*Rural Advancement Foundation International,
communiqué nov-dec/1997


 

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