セツコさんとピエールさん、そして愛娘のマリー=つばきちゃんが今年の5 月28日に引っ越してきたのは、文字通りパリの中心を横切るリヴォリ通りに面したアパルトマン。今までのアパルトマンが手狭になったのと、2DKの部屋に毎月5000F払うのだったら思い切って買ってしまったほうがいいと判断してのこと。昨年から40軒以上も物件を訪れて、@旧建築で暖炉があり、床がフローリングであること、Aバルコンがあって日当たりがよいこと、B部屋の大きさがバランスのよい3部屋であること、という2 人で挙げた条件ぴったりの物件をついに見つけた。 最初はリヴォリ通りに住むなんて考えもしなかったことなのだが、実際に訪れてみて住むのに便利な点が多いことがわかり、2人とも閑散とした地区よりは賑やかな地区が好きなので、この物件の購入に踏み切った。 まだ引っ越ししたばかりとあって、壁に取り付けるランプやカーテンレールなど、これから順々に購入してより暮らしやすくする課題も多い。「セーヌ川岸まで歩いて100mというロケーションが気に入ってる」とピエールさん。彼は、会計士をしながら、街中の壁に描かれたpochoir(ステンシル)を写真におさめることをライフワークとしている写真家でもあるので、美しいパリの街角を写した彼の作品がますます増えそうだ。「部屋が明るいので、電気をつける機会がすっかり少なくなりました。また、必要な生活用品がすぐ揃うBHVやMarks & Spencer、Habitatに歩いて行けるのでとても便利です」とセツコさん。また、この建物には各入居者用の郵便箱というのがなく、管理人さんがチリンチリンと玄関にある昔ながらの単純な仕掛けの呼び鈴を鳴らして、郵便物を毎朝届けに来てくれる。その度に、世間話をしていくなんていうところも気に入っているとか。「将来的には階上のchambre de bonneも購入して仕事部屋や友人たちが泊まる部屋に改造したい」と2人の夢は続く。(里) |
選ぶ条件のひとつだった暖炉。 これはオーストリア風だ。 窓から見えるリヴォリ通りのブティック街。 |
Chez Robert, Electons Libres ●サンパなアーティストのスクワット 地下鉄シャトレ駅をリヴォリ通りに出てすぐのところにあるブティックH&M の真向かいに、各階のベランダにマネキンや大きなぬいぐるみが並べられ、垂れ幕が掲げられ、一種独特な雰囲気が漂っている旧建築の建物がある。奇抜な色にペイントされた入り口と、Entr仔 Libreと書かれた立て看板、いくつかのオブジェが目印だ。 ここは、長年入居者のいないビルをアトリエを持たないアーティストたちが占拠して、スクワット・アートをくりひろげている、パリにいくつか点在する拠点のうちのひとつ。13年間空き家と化していたビルを昨年の11月からアーティストたちが占拠し、熱心な活動を行っている。 6階までの各階、各部屋がそれぞれのアーティストたちのギャラリー兼アトリエ。エクスポジションを開催している部屋あり、制作中の作品がころがっている部屋あり、活動中の部屋あり、休憩している部屋ありで、挨拶をしながらそれぞれの部屋を回ると、作風やジャンルの違うアートが次々と現れるので面白い。 5階にアトリエを構える画家のアンヌさんに話を聞くと、「是非多くの人に訪れてほしい」そうだ。より身近にアートが感じられるホットなスポットだ。 *59 rue de Rivoli 1er 月~土 14h~19h30 日休 http://www.kisinis.ch |