「東方の森」で自然観測。
トロワ市からさらに東へ20km 行くと、「東方の森 la Forêt d’Orient」がある。
なぜ「東方」というのかというと、11世紀に、トロワ市から東方のエルサレムに向けて十字軍が遠征に出かけたからだ。この森に十字軍の宝が隠されているという伝説があったが、今はもう知るよしもない。というのも、セーヌ川とオード川の水量を調節してパリでの洪水を防止するために、60年代に森の一部に3つの湖が造られたからだ。同時に、この人造湖は、いい意味でトロワ郊外の風景をも変えてしまった。
Geraudot湖とLusigny湖にはビーチがあり、水上スキーや釣りを楽しめる。
ここに棲む動物を保護するためにモーターなしの船だけが許可されているTemple湖は、自然公園になっていて、265種類以上の鳥を数えることができるフランスでも有数の鳥類観測地だ。またカシとカンバの木からなるこの森で、シカやイノシシに出会うこともまれではない。
この30年間で、「東方の森」に渡り鳥たちがやってくるようになり、2月と3月には数千羽が羽を休める。シロコウノトリとガンも、スペインやアフリカで冬を過ごしてから北上するときに、木々の生い茂るこの湖畔で休息する。3月から10月にかけての日曜日の早朝には、バードウォッチングの会が企画されている (問い合わせ先Maison du Parc 03 25 43 81 90)。
住民たちも自然保護に熱心で、ヒキガエルが繁殖期に池から池へと移動するときに車に轢かれないようにと、中学生たちは、道路脇に50センチほどの高さに土を盛り上げてプラスチックで覆い、ヒキガエルをバケツに誘導して回収し、隣の池に解き放っている。
*車で行くなら、近くのMesnil St-Pierre村にあるホテルLe Vieux Pressoir (03 25 41 27 16)に一泊して観光。この村では6月11日前後に、気球やULM (軽飛行機) のお祭りがある。