ウマールさんの空間にはアフリカのリズムが刻まれる。 N° 452 2000-02-15 中国やアフリカ、アラブ諸国からの移民が多く住んでいるベルヴィルは、生活の臭いが色濃く、またアートシーンもアクティブな地区だ。ポンピドゥー・センターに勤務し、自らも故郷セネガルへの文化的な体験旅行をオーガナイズしているウマールさんのアパルトマンを訪ねた。 よく友人を招いてフェットを催しているという部屋は、窓からさんさんと日が入りとても明るい。ソファがわりになるベッド、そしてたくさんのクッションが床にじかに配置されているので、天井が高く、広々とした印象を受ける。これなら、10人ぐらいのちょっとしたフェットがすぐに開けそうだ。実際には使っていないという暖炉の前には、ウマールさんが故郷から持ってきたバラフォンという木琴のような楽器や、ウレ( 地方によってはアワレともいう) と呼ばれる木製のゲームがなにげなく置かれている。そして、彼が一番落ちつくコーナーだという壁に埋め込まれた本棚とステレオの前には、本人専用のクッションとジェンベというセネガルの太鼓があって、一層のアフリカン・テイストを効かせている。 ベランダを始め、居間、キッチンにはたくさんの植物が繁っていて、自然を大事にしている彼らしい。天井のランプシェードには、アフリカで楽器や食器として使われているヒョウタン、カレバスがつる下がっているのもいい感じ。キッチンも広々として明るいその訳は、居間もキッチンもベランダに通じているから。外から見ると、同じ建物ではベランダがあるのは彼のところだけだから運がいい。そのうえ家賃が、30m2ほどの広さで2000フランと安い。というのも、もう10年もここに住んでいるからだそうだ。 トイレを借用する際に、ウマールさんがこんなに開けた空間を演出できている秘密を発見した。トイレには、ぎゅうっとシャワーに洗面台、洗濯機が配置されているのだが、その洗濯機の上にどーんと彼の洋服が収納されているのでした。 思わず踊りだしたくなるような音楽がいっつもかかっていて、人が訪ねてくるとフレッシュなハーブでいれたミントティでおもてなし。自分のルーツを忘れない彼らしさに溢れた空間は、なぜだか我々にとっても居心地のいい空間で、ちょっとばかし羨ましくなってしまうのでした。(里) *ウマールさん主催のセネガルで文化的な体験 (アフリカンダンスの研修など) ができる旅行に興味がある人は http://www.sangonet.com 人との出会いが嬉しくなるバーがある。 ウマールさん宅の正面にあるバーは、いかにもベルヴィルらしいスポットだ。 “Buvette、Epicerie d’Art” と書かれていて、どんな店なんだろうと思うのだが、中に入ってみれば納得。左側のカウンターで飲み物を注文し、右側に展示されているエクスポジションを眺 めるもよし、そこにいる人々と語るもよし、毎週末に催されているコンサートに参加するもよし。そこには居心地のいい空間がある。バーの料金も良心的。コン サートに関しては特に料金設定はなく、回ってきた帽子に各自が払いたいだけのお金を払えばいい。スタッフによれば、年齢や国籍を問わず誰にでも開かれたス ペースにしたいので、必ずしもバーでなにかを注文する必要はないそうだ。例えばお金がない人は、ただ音楽を聴きに来てくれるだけだっていいのだという。スタッフもお客さんもサンパな人ばかりだから、作品を展示したり、コンサートをする場を探している人は、一 度は覗いてみる価値が大いにありそうだ。(里) *LE PATAQUES : 8 rue Jouye Rouve 20e 01.4033.2747火~金 15h-24h/ 土・日・祭 10h- 深夜1hコンサートは19h30-22h Share on : Recommandé:おすすめ記事 ヌイイ・シュル・セーヌに住む芸術家 ハンスさん流のシンプルで贅沢な暮らし Pierre Josse 世界を旅する写真家。 改装には苦労したけれど、結果には満足。 地下鉄Republique駅。54m2 。天井3.5m ルネさん方丈記。住まいは造船所。 地下鉄Filles du Calvaire駅。12m2 。家賃なし。 二つのアパートを一つのアパートに大改造。 地下鉄Jourdain駅。65m2。 家族構成が変わり、家を変えた。 Menilmontant駅。100m2(バルコニーを含む)。管理費約300euros。