食うか食われるかの銀行再編の戦い。


 単一通貨ユーロのおかげで加速化する欧州市場のグローバリゼーションの中で、
フランスでは2月以来6カ月にわたって、大手銀行ソシエテ・ジェネラル(SG)、事業銀行パリバ、パリ国立銀行(BNP)の3行すれ違いの合併ドラマが繰り広げられた。
 3行が取り乱しての計略結婚・破談問題を簡単にたどってみよう。2月に相思相愛のSGとパリバが株式公開交換(OPE)による”婚約”を発表。怒り狂ったのはBNPのペブロー頭取。その直前までSGのブトン頭取と彼の間で手を結ぶ話し合いが進んでいたのに、突然ブトン氏がパリバに乗り換えたからだ。ペブロー氏は95年スエズ銀行・UAP保険との大合併計画に失敗、96、97年とCIC銀行の買収も逃し、ついにSGにも裏切られ面目丸つぶれ。そこで当たって砕けろ、SG-パリバ-BNPの3行合併(SBP)を目論む。実現すれば欧州金融界トップに、世界3位にのし上がれ、政府も巨大仏銀行の誕生を歓迎する。
 以来8月6日まで連日、SGはパリバとの”友好的合併”がいかに安全で利がいいかを主張、BNPは 3行合併で世界制覇を目指そうと、新聞紙上一面広告で銀行株争奪戦を繰り広げた。ペブロー氏もブトン氏も元財務監督官、前者はバラデュール直属の元高官(UDF系)、後者は元ジュペ予算相官房長(RPR系)、両者の競争心は増すばかり。
 OPEの最終結果は、BNPがパリバの資本65%を獲得し同行を手中に収めたが、SG株は37.15%(決議権31.8%)しか得られなかった。ブトン頭取は「BNPに食われるくらいなら外資を受け入れた方がマシ」と抵抗。SG行員も合併反対のストで応酬。両者は最終的妥協案(BNPがSGの20%を保有し、SGがBNP-Paribasの10%を得る折衷案) にもそっぽを向き一歩も譲らない。
 フランス銀行トリシェ総裁が委員長を務める銀行・投資機関委員会(CECEI)は、 ついに8月28日、相性の合わない2行をいっしょにさせても経営面、リストラ等の問題は避けられないと判断したのか、BNPがSG株(37.15%)を保有することを禁じ、SGでの支配権拡大の企てにストップをかけた。BNPが獲得したSG株は株主にもどされることになった。結局、BNPは意中の相手(SG)と結ばれず、思ってもいなかったパリバとくっつく。BNPにフィアンセを奪われ、欧州14位に落ちたSGはいかに生き残れるかの競争に直面。
 それにしても株式公開交換という株主による決定を、仏金融界の調整にあたるCECEIが取り消すという、石橋を叩いて渡るフランス式資本主義を見せられた感じだ。しかしながら、戦後ドゴール大統領によって国営化された銀行のほとんどが民間銀行となったいま、フランスの金融機関はまさに食うか食われるかの国際金融市場の戸口に立たされているのである。  ”国営”資本主義の終焉といえよう。(君)


合併騒動前のBNP・Paribas・SG

530万人+45万法人(BNP顧客数)
900万人 (Paribasカード利用者数) 
500万人+35万法人(SG顧客数)
56 300人 BNP行員数
19 400人 Paribas行員数
58 600人 SG行員数
74億ユーロ BNP取引総額
44億ユーロ Paribas取引総額
93億ユーロ SG取引総額
*1998年12月末調査。Libération(99/8/15)