結婚してもしなくても同じ ?

  「市長の前で誓い合うなんてバカらしい」とは、同棲生活5年半、いつ子供をもってもいいという20代後半の友人カップルが最近語った意見。肝心なのは長続きすることと言いたかったのだろう。
 結婚か独身かの二者択一はもう古いようだ。今日、公的に共同生活を送るカップルだけでも全国で約400万人、ホモセクシュアルも含めると約700万人。パリなどの大都会では同棲組の増加が近年目立っている。独身主義者たちは、結婚という社会規約を無視しながらも婚姻者と同じ法的地位(社会保障・税制・相続権・養子)を要求する。それは、同性愛者たちが社会的認知と同時にそのパートナーへの社会保障や、住居の賃貸・売買の際の共同契約権を要求してきたのと重なる。
「結婚危機の時代」に婚姻・離婚という法的な関係に組み込まれることを避ける同棲カップル。ジョスパン政権も、社会構成員として彼らをこれ以上無視できなくなったのだろう。10月9日より国民議会で、彼らを対象とする「連帯民事契約」(Pacte civil de solidarite) 法案の討議を開始する。
 PACSによってホモたちをも法的に公認することに反感を抱いている保守派市長たちとの衝突を避けるため、政府はその署名場所を原案の市役所ではなく、大審裁判所又は県庁を提案する。そして契約の第一条件として、共同生活において二人が精神的物質的に連帯することを義務付けている。同契約は相手の死、または契約破棄の届け出によって解消される。
 法案のなかで一番関心が寄せられている税制面では、PACS署名後 2人が所得を共同で申告できるのは2年か3年後とされている。相続面でも婚姻者を優先し、課税免除額は婚姻者への33万フランより少ない30万フランに。そして課税率は非親族の相続税と同様に60%とし、遺言が必要とされる。
 また法案では、フランス人とPACS契約を結んだ外国人は、正規に入国していれば2年後に滞在許可証を取得できる。しかし滞在許可証を得るための偽装結婚への取り締りが厳しいように、同じような目的でPACSを利用するのではないかと、監視の目はさらにきびしくなりそう。
 家庭の崩壊といわれて久しい。その家庭とは結婚を前提としていたといえる。しかし今日、自然体で共同生活を送る人たちには、もはや結婚という安全弁(?)は必要ないのかもしれない。こうした中で、もうじき結婚という儀式も無用の長物になっていくのでは。

(君)