W杯初優勝!


ついにフランス・チームが勝ってしまった。ブラジルとの決勝では、それまで無得点のジダンが、プティのコーナー・キックを2度ヘッディングで決め、試合終了直前にはそのプティが見事なシュートで3対0。
“On a gagn; On a gagn;” の歓声が、試合終了のホイッスルと同時に超満員のフランス競技場に響きわたった。シラク大統領も試合前にプレゼントされた23番のユニフォームを振り回して興奮気味。シャンゼリゼ大通りは150万人のファンで埋まり “On a gagne ! On a gagne!”の大合唱。 各選手の出身地でも “On a gagne ! On a gagne !”が夜明けの3時過ぎまで続いた。
これほどフランスがひとつにまとまって揺れ動いたのは、第二次世界大戦終戦以来、との声も。翌々日のパリ祭も革命記念日というよりはW杯記念日。エリゼ宮の園遊会に招待された多数の若者たちは 、声を揃えて “ジダン、大統領!” 本物の大統領シラクさんは苦笑いでした。

(真)

勝利の狂喜に酔い痴れるけれどゥ
ワールドカップ始まって以来68年目に初めてフランスが勝ち取った黄金のトロフィー。全国民の熱狂はいうまでもなく、シャンゼリゼを埋め尽くした150万人の群衆が爆発させた狂喜を、第二次大戦パリ解放時の様相に喩える者も多い。
 キャプテンのデシャンが「サッカーは人種・社会・政治の違いを抹消する」と言ったように、仏チームはマグレブ、アフリカ、グアドループ、アルメニア系と、大半の選手が出身地・文化を違えながら、郊外でボールを蹴りながら育ってきた者ばかり。彼らの肌の色も”黒・白・ブール (Beurs : アラブ二世の意)とまちまち。国籍取得に血統主義を守るドイツの選手がみな金髪碧眼であるのとは異なる。30年来この地に根づいた多人種からなる新しい世代による勝利であり、彼らが築き上げつつある新しいフランスの勝利といえる。
 しかし、それはどこまでもサッカーの世界でのこと。最近発表された人権諮問委員会の調査* によれば、フランス人は三つのカテゴリーに分類される。第一のカテゴリー(18%) は、 「アフリカ人、アラブ人が多すぎてフランスとは思えない」と「外人嫌い」を自認し、ルペンが広める外人排撃感情に同調する。第二のカテゴリー(40%) も「移民が多く、人種差別感情を持つこともある」が、ルペンの思想に全面的には賛成していない。この中間層は主に農業従事者・商人・職人・定年者が多い。第三のカテゴリー「反人種差別主義者」は33%を占め、若者(25歳未満は47%)、幹部クラス、左翼・エコロジー派において率が高い。
 ラシズムには経済的要因もかなり強い。仏人の73%が「移民は社会保障を目当てに滞在する」とし、 30%は「経営者がマグレブ系よりも仏人を優先的に雇用するのは当然」と考える。最近バラデュール元首相がルペンの向こうを張り、国民優先の社会政策を説いているのも、仏社会の深層に横たわるこの自民族中心主義を反映しているよう。
 W杯準決勝、決勝でそれぞれ決定的なシュートを決めたチュラムやジダンを、シラク大統領を初め全国民が現代の仏社会の鏡として祭り上げているようだが、日常にもどるや、その熱狂はサッカーが生んだ “夏の夜の夢” だったのでは、と思えてくるのであ
る。

(君)

 


 

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