■ガラスの動物園 1945年にテネシー・ウィリアムズが書いたこの有名な芝居では、南部育ちで昔の夢を追う母、足が悪くて極度に内気な姉、文学青年で今の生活から逃避することを夢見る弟が描かれる。 家族3人の食事風景で幕が開く。母に反発する息子、おびえたような姉の姿から、この不幸な家族間の絆がとてももろいものであることを感じとることができる。このもろさはまた、姉が大切にするガラス細工の動物たちにも象徴され、彼女自身の心もガラス製の動物のように冷たく繊細にできている。 再び食事の風景。内向的な娘に結婚相手を見つけようと、母は息子の同僚であり娘の初恋相手だった青年を食事に招く。ふとした過ちから動物のひとつがこわれ、姉の閉じ込められた心が解き放たれていくかのようにみえるのだが・・・・ 息子に自分の姿を重ねてこの作品を書いたウィリアムズの世界が忠実に再現され、はりつめた空気のなかで家族間の愛と憎悪がぶつかりあう。時には夢見るようでいながら、時には恐ろしいほど現実的な母親の姿を、マリー=クリスチーヌ・バローが熱演している。演出はミシェル・ファガドー。 (海) *LA MENAGERIE DE VERRE Studio des Champs-Elysees : 15 av. Montaigne 8e 01. 5323 .9919 火−土/20h45、 土/17h、 日/15h 60F/ 180F |