フランスのトップ40社の社長の平均年収、ほぼ2倍に。
上場企業サポートサービスのScalens社によると、ユーロネクスト・パリに上場する上位40社(CAC40)の企業トップの平均年収は2020年の450万€から21年は870万€(約12億円)とほぼ2倍になった、と仏紙が報じた。コロナ禍により20年は19年の540万€から下がったが、経済復興により大幅に上昇した。
ダッソー・システムのベルナール・シャルレスCEO(最高経営責任者)の報酬は1750万€から21年は4080万€に上昇し第1位。企業トップの年収は基本給に、目標達成度に応じた報酬が加わり、さらに数年後に支払われる長期業績に応じた利益分配もある。13日にステランティス(仏PSAとフィアット・クライスラー・オートモービルズFCAの2021年合併後の新社名)のカルロス・タヴァレスCEOの2021年の報酬が6600万€(約91億円)と報じられて物議をかもしたが、基本給(190万€)に合併成功報酬など各種報酬を加えた額は1900万€で、残り4700万€(自社株報酬や特別能力報酬)は2026年以降に支払われる予定だ。同社の労組CGTは「国内で2600の雇用削減をし、社員の給与は2.8%しか上がらなかった」と猛反発。別の労組CFDTも企業トップの報酬の上限を決めるべきとした。マクロン大統領も、EUレベルで報酬上限を決めるよう呼びかけたいと発言した。
ステランティスの株主総会はタヴァレスCEOの報酬額に反対した(52%)が、同社はオランダに本社を置くため、株主の意見は参考意見にしかならない。フランスでは国営企業のトップの給与は年間45万€の上限があるが、民間企業にはない。ただし、株主総会の承認が必要だ。庶民感覚とかけ離れた大企業トップの報酬はたびたび議論になっている。