Un regard en mouvement
ベルリン・ダダの創始者の一人、ラウル・ハウスマン(1886-1971)は造形、写真、舞踏、著作をこなした総合芸術家だ。本展は写真展だが、最初の部屋はダダ時代にフォーカスしており、2月に終わったオランジュリー美術館の「ダダ・アフリカ」展の続編のような感がある。
ハウスマンはウィーン生まれ。1918年に仲間たちとベルリン・ダダクラブを作った。20年代に本格的に写真に取り組み、海辺の風景などを撮る。浜辺で撮った伴侶のヌードは飾り気がなく美しい。
30年代、ナチスから退廃芸術の烙印を押され地中海のイビサ島に逃れた。この頃撮った民家の写真はモダンで、イビサを舞台にしたバーベット・シュローダー監督の映画『モア』(1969)の一場面のようだ。
歴史に翻弄された人生によるものか、ハウスマンの写真にはどこか寂寥感が漂う。戦後、アメリカへの移住がかなわず、39年から住んでいたリモージュで没した。(羽)
5/20まで 月休