北フランスの愛鳩文化。

鳩は、家族の時間。

夫婦ふたりで鳩入門、デュボワ夫妻。

「今年始めたばかりなので、まだ20羽しか飼っていません。祖父が競翔をやっていたので前からやりたかったんです」と、ヴァンサンさん。いっぽう妻のオロールさんは、「私の家では誰も鳩をやっていなかったので発見です。お隣さん(同じ鳩協会の人)の鳩舎に鳩が飛んでいくのを見て、旦那にせがまれたんです。最初はなかば仕方なく…。共働きなので週日は旦那と別々だから、彼と一緒に過ごす時間が欲しかったので。釣りや狩猟は外でのレジャーですが、鳩なら家で楽しめますし。家族の時間なんです。

庭で鳩と戯れるデュボワ親子。

庭の小屋を鳩舎に改造する時は協会の人たちがアドバイスしてくれて、鳩もゴッドファーザー(鳩を与え、助言する人をこう呼ぶ)がくれたのよ…。朝起きたらまず、鳩舎を開いて鳩を飛ばせる。それから仕事に行って、帰宅したら鳩たちが戻っているかチェック。今はヒナがいるから鳩舎には頻繁に行きます。子どもたちも大喜び。手から餌を食べたり、肩に乗ってきて頬を突っついたり。バカンスは3日くらいで、数回出かけたり。家では他に鶏も飼っているし鳩が好きだからいいのよ。他の動物と同じ。世話は朝10分、夜10分で済むんですよ」。鳩仲間とはBBQを一緒にしたりもするそうだ。

リールから南に20km、オルシーにある鳩協会Le Vengeur (復讐者?!)のメンバーたちと。

 

戦争と鳩。

ブローニュの森からセーヌ川を渡ればオ・ド・セーヌ県シュレーヌ市。ここには仏陸軍第8通信連隊の要塞があり、フランス唯一の軍鳩舎が100羽ほど伝書鳩を飼っている。鳩の軍利用が盛んだった頃は全国に70ほどの鳩舎があったが、今はここ1ヵ所のみ。(今、ここの鳩が出動するのはセレモニー時の放鳩くらい)。

鳩は大昔から戦地で使われてきたが、仏軍が使い始めたのは1870年普仏戦争。パリがプロイセン軍により包囲されたため、徴用した鳩を気球に乗せ、パリの外に送りメッセージを持ち帰らせた。

普仏戦争では鳩を気球に乗せて、パリの外へ運んだ。 © Musée Colombophile Crespin

鳩が運んだ文書を拡大して読む。© Musée Colombophile Crespin

第1次と第2次大戦、植民地戦争などにも鳩が従軍したが、なかでも有名なのがヴァイヤンVaillantだ。1916年、激戦地ヴェルダンから10kmのヴォー要塞がドイツ軍に包囲され毒ガスが充満するなか、レナル司令官のメッセージをヴェルダン要塞に届けた。没後は剥製となり、シュレーヌの愛鳩博物館*に陳列されている。
リールには第一次大戦中に命を落とした2万羽の鳩を慰霊するモニュメントがある。ドイツ軍は通信手段を断つため、鳩を飼っている愛鳩者を銃殺した。その犠牲者も祀られている。

リール要塞入口に置かれた、戦没鳩と戦没愛鳩舎のためのモニュメント。

*Musée colombophile militaire :
団体見学可、要予約 01.4144.5350 Forteresse du Mont-Valérien
Rue du colonel Hubert Delestrée 92150 Suresnes

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