北フランスの愛鳩文化。

© Musée Colombophile Crespin

人間は大昔から鳩の帰巣本能をさまざまな形で利用してきたが、ベルギーでは1810年頃、「鳩レース」が生まれた。鳩舎から離れたところで鳩を放ち、帰舎の速さを競うものだ。国境を接するフランス側にも鳩レースは伝わった。特に、鳩を携えてフランスに働きに来た炭鉱夫たちにより、愛鳩文化は北フランスに根を下ろした。

真っ暗な地下で8時間の重労働を終えた後、鳩を大空に羽ばたかせる楽しみ。一時は炭鉱労働者の9割が愛鳩者といわれるほど、炭鉱夫たちの集合住宅(coron)では鳩が飼われ、鳩との共存生活が営まれていたという。足環、足環をはめる器具、トロフィー、レースのタイマー、情報誌、餌、ワクチン…愛鳩産業が興り、鉄道網の発達で鳩の運搬が容易になったことで、鳩レースは社会的、地域的に、広範な人々に楽しまれるようになった。

レース鳩を協会に連れて行き仲間とビールを飲むひととき。初心者には先達が鳩を与えアドバイスするしきたり。鳩を中心とする愛鳩コミュニティーは、今日も健在だ。フランスの愛鳩人口は1万3千人。その半数が集中しているという、愛鳩文化の息づく北フランスへ、鳩好きたちに会いに行った。(六)

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