監督の「懲りない性分」を感じる映画。『 Seule sur la plage la nuit』 2018-01-19 舞台・映画 0 「映画はテーマより、その語り方だ」。確かに、問題意識をもって最新の社会政治問題をテーマに据える映画もある一方で、人間関係、青春、恋愛、生死といった人間の永遠のテーマは、全ての芸術分野で飽くことなく、人間の歴史と同じ分だけ繰り返し、テーマとされている。確かに、語り方につきる。その語 [...]
怪優と諏訪監督との出会いから始まった映画。 2018-01-02 舞台・映画 0 『ライオンは今夜死ぬ』映画製作は長距離走だ。1月3日公開の諏訪敦彦監督『ライオンは今夜死ぬ/Le lion est mort ce soir』は、 2012年秋のジャン=ピエール・レオと監督の出会いが起源だ。 [...]
『12 jours』社会から隔離される言葉。 2017-12-05 舞台・映画 0 『12 jours』 よく磨かれた床、無機質な白い壁。カメラは滑るように廊下を進む。ここはリヨンの精神科病院。密室で患者と判事の面談が始まる。フランスでは2013年の法改正により、強制入院させられた精神病患者は、拘束されてから12日目を迎えるまで、外部の判事と面会をする。強制入院 [...]
『Bangkok Nites』邦画のスケールをはるかに凌駕。 2017-11-15 舞台・映画 0 数年前、『サウダーヂ』という映画に衝撃を受けた。そこには私の知らない日本が、予想だにしなかった日本が描き出されていた。過疎化した山梨県甲府市周辺、シャッター通り、そこに生きる若者たち、ブラジルや東南アジアからの移民たち、鬱屈(うっくつ)するエネルギー、彼らの、いや21世紀の今日を [...]
優しく残酷、幻想的で現実的。『Corps et Âme』 2017-11-02 舞台・映画 0 『Corps et Âme』 雪化粧した森の奥深く、二頭の鹿が大地に立つ。それは夢のように美しい風景。だが実際、これは夢なのだ。見とれていると、非情にも人間界の映像に切り替わる。主人公はふたりの男女。食肉加工工場ディレクターのエンドレと、品質管理担当者のマリア。ふたりはある事 [...]
芯があって素直な主人公が成長する姿に、共感がわく。 2017-10-18 舞台・映画 0 『 Tous les rêves du monde 』 今を去ること20余年前『 Les gens normaux n'ont rien d'exceptionnel/おせっかいな天使 』という映画との出会いは、筆者の個人映画史になにがしかを刻んだ。 [...]
Kein Licht「光のない。」ポスト・フクシマのオペラ。 2017-10-13 舞台・映画音楽 0 10月18日(水)〜22日(日) ノーベル文学賞作家、エルフリーデ・イェリネクが福島の原発事故後に書いた戯曲「KeinLicht-光のない。」をフィリップ・マヌリがオペラ化(厳密にはオペラではなくマヌリが提唱する新ジャンル "Thinkspiel")。生楽器/電子音楽、セリ [...]
『Téhéran Tabou』実写で撮影不可能なイランの暗部 2017-10-03 舞台・映画 0 『 Téhéran Tabou 』 イスラエル人アリ・フォルマン監督の『戦場でワルツを』(08)を覚えているだろうか。「アニメのドキュメンタリー」という野心的な試みに驚いた人も多かろう。先のカンヌ映画祭批評家週間で紹介された『Téhéran Tabou』もまた、アニメの可能性 [...]
Miranda – Opéra シェイクスピアの女主人公、現代に現る。 2017-09-18 舞台・映画 0 9月25日(月)〜10月5日(木) 英国の演出家ケイティ・ミッチェルはシェイクスピアの父権社会と女性の扱い方に疑問を抱き、『嵐』のなかで父プロスペロの思惑によりナポリの王子と結婚させられた娘ミランダを、現代のフィルターを通して描き直し、ピグマリオン楽団演奏のパーセルの音楽でオペラ [...]
シンプルな物語から、内省的な人間ドラマを映像に刻印。 2017-09-18 舞台・映画 0 『 Faute d'amour 』 03年、『 父、帰る / Le Retour 』でヴェネチア国際映画祭で金獅子賞と新人監督賞を獲得し、彗星のように世界の映画シーンにデビュー。つづく 『ヴェラの祈り / Le Bannissement』(07)でカンヌ男優賞(妻の不貞に揺ら [...]