一見穏やかに見える作品だが。 “Pierre Bonnard” 2006-03-01 アート 0 ボナールは日本人に人気がある。三岸節子をモデルにした芝木好子の小説『火の山にて飛ぶ鳥』には、主人公の色彩が「ボナールばり」と形容されている箇所がある。(羽)も、ほどほどに好きだった。「だった」と過去形にしたのは、パリ市近代美術館のボナール展を見て、この画家についての印象が複雑に [...]
精神と肉体の親密な一体化。 “Bernard Faucon” 2006-02-01 アート 0 今年56歳のフランスの写真家、ベルナール・フォコンの、1976年から95年までの回顧展。 第一部は、等身大の少年の人形たちが、フォコンの故郷、南仏の風景の中で遊ぶ、初期のシリーズ〈学校休暇〉だ。人形たちは、一部本物の少年を交えて、海岸で寝そべったり、雪合戦をしている。昔のグラ [...]
芸術への反逆。 “DADA” 2005-12-01 アート 0 「絵画は終わった。誰がこのプロペラよりも良いものを作れるだろうか?」。1912年、パリで行われた航空見本市を訪ねたマルセル・デュシャンの言葉だ。これは世界初の芸術への終末宣言で、のちにダダの姿で具体化される芸術の危機の予言でもあった。第1次大戦直前にイタリアで生まれた未来派が、 [...]
写真家から民族学者へ。 Pierre Verger (1902-1996) 2005-11-01 アート 0 パリで生まれブラジルで亡くなった写真家・民族学者ピエール・ヴェルジェ。ブルジョワ出身のヴェルジェが写真家になったのは30歳のころ。友人の写真家ピエール・ブッシェの影響だった。 旅をするのが大好きで、母親の死後、自分の欲望に正直に生きようと決心した彼は、カメラ片手に世界中を駆け [...]
ロシア的アイデンティティを模索…。 “L’art russe au musee d’Orsay” 2005-10-01 アート 0 19世紀半ばからロシア革命までの時代に、ロシア的アイデンティティを模索していた芸術家たちが、絵画、彫刻、工芸、建築、写真の分野でそれをどのように表現したかを時代を追って見せる、一大展覧会だ。 19世紀中頃、ロシアの美術学校は、ギリシャ神話や聖書を主題にしたり、イタリア風の理想 [...]
小さな宝石のようだ。 Musée Cernuschi 2005-08-01 アート 0 知る人ぞ知るアジア芸術の美術館が1年の大改装工事を経て再オープンした。美術館の建物はイタリア出身の富豪アンリ・セルヌスキ(1821-1896)の館。セルヌスキ(イタリア語ではチェルヌスキ)は、イタリアがオーストリアに一部占領されていた時代にミラノを解放した英雄のひとりで、解放後 [...]
石の抵抗〈No man’s land〉。 ラリー・タウェル写真展 2005-07-01 アート 0 カルチエ・ブレッソン財団で、2003年のカルチエ・ブレッソン賞を獲得したラリー・タウェルの写真展が開かれている。 ラリー・タウェルの描く〈No man’s land〉とは、パレスチナのことである。ラリー・タウェルは53年生まれのカナダ人。農場に住みながら音楽や詩、 [...]
L’Homme et ses masques 2005-06-15 アート 0 何千年も前から人間はマスクにどんな思いを込めてきたのか。ジュネーブのバルビエ・ミューラー博物館が所蔵する素晴らしい仮面コレクションから87点。アフリカ、オセアニア、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの仮面に作家ミシェル・ビュトールが詩を捧げる。ほとんどの作品は一般初公開。8/28迄( [...]
新印象派の技法は、静かな風景画のほうがはるかに成功している。 “Le Neo-impressionnisme de Seurat a Paul Klee” 2005-06-01 アート 0 オルセーで新印象派展が開かれている。 「新印象派」は、19世紀の光学色彩理論を絵画に適用し、混じりけのない色の点を並置することで、離れて見た時まとまった色の効果を出すことを目指した。スーラとシニャックが代表格だ。 スーラは31歳で夭折したが、若いシニャックが後を引き継ぎ、技 [...]
過剰な、あまりにも過剰な! “Dionysiac” 2005-05-01 アート 0 予算半減で(それだけではないだろうが)、ほとんど見るべき現代美術展がなかったポンピドゥー・センターで久しぶりに刺激的な展覧会を見た。多くの示唆を含んでいる展覧会として、残り日数わずかだがぜひおすすめしたい。 ここでいうディオニソスとは、むろんギリシャ神話に出てくるあの狂乱恍惚 [...]