「場所」そのものへのアプローチ。 ガブリエル・オロツコ展 1999-07-01 アート 0 昨年パリ近代美術館で開催されたオロツコ (1962年メキシコ生まれ) 展では、作品はそれぞれが完結するものであったが、今回の展覧会では、空間と時間を刻む「場所」そのものへのダイレクトなアプローチが試みられ、作品の概念がまったく変わっている。 彼の作業はまず、ギャラリーを半分に仕 [...]
具体美術協会– アクションの軌跡としての美術。 Retrospective Gutai 1999-06-01 アート 0 日本の前衛美術というと、欧米では今や必ず「グタイ」の名が出てくるほど、この50年代の美術運動は定着した感がある。しかし、具体美術協会のいう「具体」とは何だったのだろう。欧州にも1930年に始まり、二つの流れに引き継がれたアール・コンクレがある。しかし、測りうるほどの美を求めたコ [...]
芸術橋から抑圧者を射る眼差し。 OUSMANE SOW 1999-05-01 アート 0 ダカール沖の青黒い海、そして周辺の赤土色の大地と土埃はウスマン・ソウの彫刻の粗いテクスチャーと直結している。2.2メートルもあるウスマン・ソウの創ったヌーバやマサイ、ズールーの眼差しは、アフリカの荒野や黒い海、ダカールの沖にある奴隷売買の島だったゴレ島に向けられているのだ。 こ [...]
ポン・デ・ザールのウスマン・ソー彫刻展 1999-04-01 アート 0 ウスマン・ソーの彫刻を見にポン・デ・ザールに出かけた。マスコミでもよく取り上げられたせいか、太陽が輝く水曜日の午後だったせいか、歩道橋の中央に並ぶ像のまわりはすごい人出で、まるで縁日のようなにぎわい。ソーは、1935年セネガルのダカールで生まれ、22歳の時にパリに移住した。整体マ [...]
複眼者の視点。 David Hockney展 1999-03-01 アート 0 「好きなものを好きな時に、好きなところで描く」というホックニー。明るい色と光に満ちた部屋、プールサイドに横たわる男、青い空。絵の好きな子供がそのまま大人になって、童心のまま描いたような素直さが気持ちいい。現在開催中のホックニーの三つの展覧会は「空間と風景」「ピカソとの対話」「写 [...]
オーラに包まれて Mark Rothko展 1999-02-01 アート 0 ぼんやりと浮かび上がる大きな長方形。その前で、いつの間にか私は思い出をたどっている。人生は風のようにはかない。誰もみなひとりぼっちだ。 1903年にユダヤ人としてロシアに生まれ、10歳の時にアメリカへ移住。”ニューヨーク派”としてゴットリブ、ラインハー [...]
都市と廃虚 –自然と造化物 宮本隆司/柴田敏雄写真展 1998-12-01 アート 0 大きなビルが足蹴りを食らったかのように横転している、巨大な写真が観る者を呑み込み、あたかもその現場に立ち会わせているかのような臨場感を与える。神戸大震災の光景だ。 宮本隆司は、84年、たまたま撮ったビルの取り壊し工事の光景から触発されて、都市の崩壊現場を撮り続けている。劇場で [...]
ギュスタヴ・モロー 象徴主義者、現代美術の先駆者。 1998-11-01 アート 0 象徴主義の先駆者として知られるギュスタヴ・モロー (1826-1898) の死後100年を記念して、大回顧展がグラン・パレで開催されている。建築家の父、音楽家の母を持つモローが絵を描き始めたのは8歳の時。パリ国立高等美術学校時代、イタリア留学が約束される美術学校ローマ賞に落選す [...]
コブラ、半世紀前のニュー・ウェーヴ。 Cinquante ans après COBRA 1998-10-01 アート 0 “La verite sort de la bouche des enfants et des fous” “コブラ” が結成されたのは50年前の1948年11月8日。デンマーク、ベルギー、オランダのアーティストたちがパリから発 [...]
メニルモンタンのアトリエ開放 1998-09-15 アート 0 20区にあるメニルモンタン通り界隈には、たくさんの画家、彫刻家、版画家、写真家などが住みついて創作に励んでいる。そんな彼らが、10月2日から5日までの4日間、14時から21時までアトリエの扉を広々と開いてくれる。80以上のアトリエがあるというし坂道も多いので、歩きやすい靴をはい [...]