具体美術協会– アクションの軌跡としての美術。 Retrospective Gutai

 日本の前衛美術というと、欧米では今や必ず「グタイ」の名が出てくるほど、この50年代の美術運動は定着した感がある。しかし、具体美術協会のいう「具体」とは何だったのだろう。欧州にも1930年に始まり、二つの流れに引き継がれたアール・コンクレがある。しかし、測りうるほどの美を求めたコンクレと具体美術協会のそれとはいささか趣も思考も異なる。
 この度の包括的な「グタイ」展は、フランスでは初めての回顧展で、この運動がどのようなものだったかを一覧するには好機である。
 「人のやらないことをやれ」と若い作家達を激励した吉原治良が牽引したこの運動は、アクションや身体の行為に価値や美を見いだした。戦後10年経った55年、敗戦のダメージから自由になる、なりうる空間として唯一、美術を想定したのである。それは抑圧されたものから解き放たれたい欲求の爆発として、様々な形で結晶した。紙の障壁をアクションで破った村上三郎や、綱に吊り下がりながら身体や足で絵の具を塗り捏ねた白髪一雄、アクション・ペインティングともいえる嶋本昭三の絵、具体のなかでは数少なかった女性作家、田中敦子の思考の回路のような絵画や立体など、今見れば、懐かしくもある生の軌跡のような作品群である。
 しかし、それは既成のものを拒否する意志に導かれてはいても、思考を拒否する思考へと向かい、ダダのオートマティスムや禅の戯れのなかに絶対なる自由を見いだそうとした。それゆえ、他者を意識しながら錬成してゆく思想とはならずに、内向し、花火のように煌めいて終焉した。それが具体の運動の決定的なアキレス腱であり、限界だった。
 伝統を復興しようと試みるとき、必ず落とし穴がある。「伝統とは起源を忘却することなのだ」といった思想家の言葉を想起したい。(kolin)
*Jeu de Paume : 6月27日まで

ラテン・アメリカのキネティック・アート



 50年代初めから中頃にかけてフランスに居を構え、キネティック・ムーブメントに取り組んだ、ブラジル、ベネズエラ、アルゼンチンのアーチストたち。フランスにおけるキネティック・アート紹介の第一人者ドゥニーズ・ルネのギャラリーで、彼らの作品だけを集めて『ラテン・アメリカの…』といってしまうのには抵抗があるが、この運動に全身を投じた彼らに光りを当てたのは意義のあることだ。
 当時パリでは急進的な幾何学的抽象造型が君臨していた。これを強く支持していた彼らは、モンドリアンやドゥースブルクらの構造主義的新造型計画を引き継ぎながら、それに科学的ともいえる抑揚を与える。
 面の上に何かを描写する、という制約をもった絵画の枠を超えて、彼らは運動と明かりを作品に取り入れた。伝統的な絵画や彫刻にみられるような、面とボリュームという静止した次元は、時代錯誤、すでに無効のものとみなされ、ここでは動くもの、スクリーン、レリーフがそれにとってかわる。私たちが目の位置を動かすことによって、また電磁装置によって作品に動きが与えられる。
 暗室部は展覧会のもっとも教育的部分といえる。鑑賞者は暗がりの中に再現されたキネティック環境に浸り、40年来わずかの変化もせずにアカデミックな形式論になってしまった、このアートの現在と限界について考えさせられる。(マ)
*Galerie Denise Rene : 22 rue Charlot 3e
01.4887.7394 7月末まで。


●プッサンからフラゴナールまで
17~18世紀の仏巨匠80人の計115点。6/27迄  Musee Jacquemart-Andre:
158 bd Haussmann 8e
●ラ・ユーヌ創立50周年記念展
版画の紹介に努めてきた書店 ・画廊ラ・ユーヌが Alechinsky, S.Delaunay, Tapies, Appel,Soulageらの作品を展示。6/30迄La Hune-Brenner:14 rue de l’Abbaye 6e
● Fernanndo MONTES (1930 – )
ボリビア出身、ロンドンで制作。アンデスの平原と農民の姿が構成する大自然。6/30迄 Galerie GNG : 3 rue Visconti 6e
● Paul RAMBIE (1919 – )
“顔とマスク”のシリーズ回顧展。7/10迄 Galerie Serge Garnier :
12 bd de Courcelles 17e(13h-19h)
● Henri MICHAUX (1899 – 1984)
詩人兼画家のデッサンと水彩。7/10迄
Galerie T.Herold : 7 rue Thorigny 3e
●ボザール98年度優秀作品展
高等美術学校卒業生の優秀作品。7/11迄 13 Quai Malaquais 6e (13h-19h 月休)
●19世紀のアルジェリア<写真展>
仏植民地時代の証言。7/11迄(月休)
Musee de la Seita :12 rue Surcouf 7e
●エジプト(第3~第6王朝)の副葬品
紀元前2700~2200年にピラミッドに納められた彫像や副葬品214点。7/12迄 
グランパレ (水 : 22h迄、火休)
● Ernst JOSEPHSON (1851 – 1906)

スウェーデンの象徴主義作家。1887年以降精神分裂症に陥った時期のデッサンと水彩30点。7/14迄 スウェーデン文化センター: 11 rue Payenne 3e (14h-18h 月休)
● Andre DERAIN (1880 – 1954)
“美女と野獣”。1912年に描かれた裸婦と動物のデッサン約40点。7/17迄
Galerie B. Aittouares: 29 rue de Seine 6e
●フォークアート展
独学の米作家50人の絵画・彫刻約250点。
7/25迄 Halle St-Pierre : 2 r. Ronsard 18e
● LE CORBUSIER / Charlotte PERRIAND
1928~59年共同制作のインテリア・家具。7/30迄Galerie D.Town :33 r. de Seine 6e
●モネの”睡蓮”
オランジュリー美術館が8月より工事に入る前に盛大に60点を展示。8/2迄(火休)
■アール・ヌーヴォー”ナンシー派”年
ナンシーのスタニスラス広場にあるナンシー美術館が新装され2月から再公開。15~17世紀巨匠の作品や、ナンシーのドーム・ガラス工場のコレクションは必見。アール・ヌーヴォー・ナンシー派ガレなどの作品が紹介された1889年パリ万博110周年を記念し、今年は各種展覧会開催。
●アール・ヌーヴォー絵画展
Emile FRIANT,Victor PROUVE他の約100点を展示。7/26迄 ナンシー美術館(火休)
●ナンシー派 (1889~1909)
家具・ガラス・建築・陶器・絵画・彫刻等約400点。7/26迄 Galerie Poirel : rue Poirel,Nancy (10h-19h/水- 21h/火休)
※プログラムは観光局:Place Stanislas 54011 Nancy (03 8317 1999)、またはインターネット(http://www.ot-nancy.fr) で。