マリーズ 2011-01-14 ノルマンディーの作家と食 他 0 マリーズ、maryse (palette) ボウルでシュー用やチョコレートケーキ用の生地などを作り、型や絞り出しに入れようとする時、ふつうのヘラでは、ボウルにどうしても生地が残ってしまう。こんな時、マリーズと呼ばれるヘラがあると便利だ。ヘラの部分がゴムになっているので、ボールや鍋 [...]
ゾラの胃袋 –1 2010-12-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 19世紀自然主義小説家のエミール・ゾラというと、何度となく映画化された『ナナ』や『ジェルミナル』を思いだす人が多い。また、フランス大統領に向けて書かれた手紙「私は弾劾する!」を知っている人は、政治的な発言をする正義感のある作家として認識しているよう。 パリの暗黒面を執拗に描く筆 [...]
プルーストの味を求めて –12 2010-10-29 ノルマンディーの作家と食 他 0 『失われた時を求めて』の語り手は、アスパラガスを観察して美しい女性を思い起こすような少年である。そんな感受性を持った彼の初恋の相手は、社交界に名前をはせた名士であるスワン氏の娘、ジルベルトだった。彼女が美しいといううわさを聞いていた少年は、ある日シャンゼリゼの公園で彼女に出会っ [...]
プルーストの味を求めて –11 2010-10-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 『失われた時を求めて』に登場する料理上手の女中フランソワーズは、彫刻家、女優、作曲家などといった芸術家にたとえられている。食材を仕入れるために中央市場へ足しげく通う彼女の様子は「ミケランジェロがカルルーラの山中で8か月を送ってユリウス2世の建造物のためにもっとも完全な大理石塊を [...]
バカンス先、トロントの味 2010-09-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 カナダ、トロント市の郊外にある友人宅に2週間滞在した。到着した日の晩ごはんは、ご主人が庭にあるバーベキューで焼いてくれた大きなハンバーグで、ハンバーガーパーティー。トマトやコルニションなども好みで挟んで、ケチャップやマスタード、甘酸っぱいグリーンソースなどで味付けしてぱくつくわけ [...]
〈パリ・ブレスト〉100歳おめでとう! 2010-09-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 輪っか状のシュー生地にプラリネを挟んだ「パリ・ブレスト」は今年100歳を迎えた。でもパリやブレストと何の関係があるのかな? 1910年パリ=ブレスト間の自転車コース開催中、パリ郊外メゾン・ラフィット市の菓子職人ルイ・デュランが、自転車に着想を得てタイヤ形のシュー生地にプラリネ [...]
プルーストの味を求めて –10 2010-09-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 プルーストは高級ホテルを日常的に利用するような生活をしていたが、一方では素朴な暮しに対してもある種の美しさを見いだしていたようだ。 アラン・ド・ボトンによる名著『プルーストによる人生改善法』(畔柳和代訳)には、プルーストが若いときに書いたエッセイが紹介されている。その中に、王侯 [...]
プルーストの味を求めて –9 2010-07-30 ノルマンディーの作家と食 他 0 子供のころに喘息(ぜんそく)にかかり、生涯病弱だったプルーストが食べられるものは限られていた。 眠りにつく前に1杯のヴィシー水を飲んだだけでも、腹痛のために眠れなくなることがあるというほどの信じがたい敏感さ。当然ながら消化に負担がかかる肉類は好まず、ときどき少量の鶏を食べるくら [...]
意外に浅いカフェの歴史 2010-07-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 パリといえば通りに軒を並べるカフェ。カフェがパリに現れたのは実は17世紀後半のこと。それまでは居酒屋が全盛を誇り、住民200人に対して1軒の居酒屋があったほどで、セーヌ河畔の市場近くなどには500軒も集中していた。居酒屋は酒を飲むだけの場所ではなく、気晴らし、会話を楽しむ場所と [...]
プルーストの味を求めて –8 2010-07-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 プルーストにとって、ヴァンドーム広場に今でも存在するオテル・リッツは特別なホテルだった。晩年、防音のためにコルクを張り詰めた部屋にこもって小説の執筆に打ち込んでいた作家だが、そんな中、リッツでの夕食は彼の数少ない外出の機会だったという。その習慣は、体がかなり衰弱している1917 [...]