渡部祐士さん(44歳)
「僕の人生は20年おきに動くんです」。熊本県出身の渡部さんは、飲食店を営む両親の仕事を手伝いながら「料理はやっぱり東京だ」と21歳の時東京へ。洋食を得意とした父親の影響でイタリアンや流行りのカフェなどで仕事をした後、知人に紹介されブルターニュ出身者が経営するガレット店に雇用され、そば粉を使う未知なる食べ物の美味しさに開眼する。
ガレットは将来自分で店を開くならば「使える」とも思う。会社が東京、横浜、京都などで新たに店を開く時には、渡部さんが厨房の設計からスタッフの養成までを行い、ガレットを焼きながら各店舗を監督し、あっという間に20年が過ぎた。そして2年前、会社がパリに出す新店舗の準備のために渡部さんはパリへと居を移す。
シンプルな料理のようでガレットはとても奥が深いと渡部さんは言う。「フランスのそば粉は日本のものとは全く違う、毎日が試行錯誤の連続です」。7月に開店したばかりの2区のお店と、昨年開店した6区のお店を行き来しながら、渡部さんは「次にすること、したいこと」を常に考えている。日本では「フランス」を前面に出す必要があったけれど、フランスでは「日本」と「自分」を自由に表現できるのが楽しいという。
この秋、渡部さんは忙しい。10月にはこの号でも特集している日本酒のイベント参加、11月にはパリに新しい店がオープン、そしてブルターニュでは年内にガレット料理人を育成する学校もスタートする。
子供の頃から作ってきた料理とはこれからも付き合い続けるけれども、いつかは自分の店で自分の好きな料理を作りたいと思う。それは果たして20年後なのか、いつなのか。渡部さんはその時が来るのを待っている。(海)
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Breizh Café Montorgueil
Adresse : 14 rue des Petits Carreaux, 75002 ParisTEL : 01.4233.9778
アクセス : M° Sentier
無休