ボルドー特集〈1〉進化し続ける町、 ボルドー。 

 進化し続ける町、 ボルドー。
©Vincent Bengold

 皇帝カエサルが、この地をローマ属州とした紀元前1世紀に始まったボルドーのワイン醸造。それから2千年間、絶え間なく造られてきたワインは今日も世界の人々を魅了してやまず、来訪者は18世紀の建造物が並ぶ旧市街の美しさに酔いしれる。

 今や「住みたい町」アンケートでは必ず上位に入る人気都市ボルドーも、かつては「眠れる美女」と呼ばれた時期もあった。それを25年ほど前から景観保全地区の建造物を修復し、トラムウェイや自転車を配し、ガロンヌ河岸を遊歩道に、かつての港湾設備をリサイクルするなどの施策で街は生まれかわった。2017年にはTGVによりパリと2時間で結ばれさらに便利になり、よそからの移住希望者は後を絶たない。今回はそんなダイナミックなボルドーの新しいエリアを歩き、さらに大西洋岸まで足をのばした。

 戦後73年間、保守党が市政を執ってきたボルドーではこの6月、エコロジー党の市長が選出され、フランスじゅうをあっといわせた。16世紀にボルドー市長を務めた哲学者モンテーニュも、進化を続けるこの町から目を離せないでいるに違いない。(六)

ブルス広場前の「水の鏡」
ブルス広場前の「水の鏡」。水が薄くはられて建物を反射したり、ガロンヌ川のように霧を出したりする。ボルドーで最も訪れる人の多い場所。

 

 ピレネー山脈にある水源から大西洋へと流れこむガロンヌ川と、その河港として栄えたボルドー。三日月のように湾曲しているために「月の港」と呼ばれる港と旧市街の広い区域は、ユネスコの世界遺産に指定されている。「大河」の風格を感じさせるこの幅広い川にはかつて、日々あまたの交易船が出入りし、それらの船から商品を揚げ降ろしする小舟が土手との間を行き交っていた。ボルドーワインの威光とて、この川なしには考えられない。

 活気づく新しいエリアにはクレーンがそびえ立ち、開発が続行中でまだぐんぐんと街が広がっているのが感じられる。ボルドー市と近隣28のコミューンで構成されるボルドー都市共同体の人口は、2016年で77万人、2030年には100万人に達する大都市圏となる。この5年間で不動産価格は48%上昇したという、人気の弊害もでている。

 夏の太陽の下(冷えたロゼや白の地酒で小休止をしながら)コスモポリタンで食いしん坊で、商才を持って歴史の波を何度も乗り越えて来た、ボルドーの町を歩いた。

冷えたロゼや白の地酒

Bassins à Flot 地区

かつての船渠 (せんきょ)の周りに、文化が集まって来た。

 ボルドー北部にシテ・デュ・ヴァンがオープンしてから、ドック(船渠)周辺に新しい文化施設やレストランが続々オープン。かつて青果や穀物を積んだ船が係留されていたドックでは、釣人が糸を垂らしたり、バーでおしゃべりをしたり、ディナーを楽しんでいる。

1 : Bassins de Lumières

 ドイツは1940年ボルドーを占領すると翌年から大型潜水艦が15艦入れる基地の建造に着手した。そんな歴史も形相もいかつい建物が今年、芸術作品をテーマにしたプロジェクションの場に大変身。60万トンのコンクリートで造られた巨大な旧基地の中で大音響の音楽と映像の世界に飛び込むことができる。

2 : Musée Mer Marine

 昨年6月開館の「海と海洋の博物館」では、丸太をくり抜いて水上を移動するようになってから今日までの海における人間の営みをたどることができる。漁、交易、探検、移民、略奪、戦争…。多角度から海を考察すると人間の姿が見えてくる。ジュール・ヴェルヌの手稿や、船好きにはたまらない模型もずらりと並ぶ。

3 : Cité du Vin

 ガロンヌ川からのドック入口に立つシテ・デュ・ヴァンは2016年のオープン後、すっかりこの町の顔に。ガロンヌ川と同じ黄金色の建物は陽光を反射して一刻一刻色を変える。世界のワインが楽しめ、ワインの世界史も一望できる展示を見学した後はおたのしみ、最上階でボルドーのパノラマを眺めながらの試飲!

4 : Pont Chaban-Delmas

 欧州でも1、2を争う高さの跳ね橋シャバン=デルマス橋。中央部分が53mまで上昇することにより、大型客船がボルドーの河港まで入って来れる。昨年は72の大型客船がこの橋をくぐって入港した。昇降には11分要し、1時間通行止めとなる。引き潮時は緑、満ち潮ならブルーにライトアップされて美しい。


Informations

1. Bassins de Lumières -Base sous marine
Impasse Brown de Colstoun 33300 Bordeaux
Tél : 05.3500.0090
トラムC線でRaveziès駅、そこからバス9番でLatule/Base sous-marine下車。
4月-9月: 10h-19h、金土-21h。
10月-3月:10h-18h、金土-19h。
13.50€〜9€、5歳未満無料。
www.bassins-lumieres.com/
予約:bassins-lumieres.tickeasy.com/fr-FR/accueil

2. Musée Mer Marine Bordeaux
89 rue des étrangers 33300Bordeaux
Tél:05.5719.7773
トラムB線でRue Achard駅
火〜金 : 13h–19h、土日10h30–19h。月休。常設展は14€〜10€。
www.mmmbordeaux.com

3. Cité du Vin
1 esplanade de Pontac / 134-150 quai de Bacalan 33300 Bordeaux
Tél:05.5616.2020
トラムB線でLa Cité du Vin駅
8/30まで無休10h-19h。他期間はサイトで。
www.laciteduvin.com

4. Pont Jacques Chaban-Delmas
欧州文化遺産の日には司令塔に登れるが、今年(9/19、20)は要確認。


La Bastide 地区

右岸は、ボルドー〈グリーン革命〉の舞台。

ガロンヌ川右岸のラ・バスティッド地区が賑わっている。新しくエコロジー党の市長が選出されるより一足先に、この地区では市民が〈責任ある消費や食〉を考え、実践していた。自転車をこいで、ボルドーの「今」を象徴するエリアへ行ってみよう。

1 : Parc aux Angéliques/ La Belle Saison

 右岸に来ると大木の影で人々が憩うアンジェリック公園の豊かな緑にホッとする。公園内の新しい人気店「ベル・セゾン」ではガロンヌ川に面した庭のデッキチェアでドリンクとおつまみ、レストランではフランス南西部の料理や小魚エペルランのフライ、タコのサラダなど。そしてこの界隈こそがボルドー旧市街の夜景の最高のビューポイント。美しい眺めについ酒もすすむ。

2 : Les Chantiers de la Garonne

 船の格納庫跡を再利用したバー・レストランでは、同じ建物にあるビオの自家醸造所La Luneで造っているビールやワインが新鮮な海の幸と食べられる。近くの漁場の生態系に配慮し、クオリティの高いものを提供するために地元の魚問屋からのみ仕入れる。砂が敷いてある庭にはブランコもあり、子どもやペット同伴もOKの自由な雰囲気がいい。

3 : Darwin Ecosystème

 その昔、兵舎だった大きな建物を再利用した3ヘクタールのエコ村が誕生した。農園、地元起業家たちのコワーキング空間、スケボー教室も催すスケートパーク、ビオショップ兼フランス最大ビオ食堂を謳うMagasin Général…。エコ社会の巨大実験室のようなプレイスポットのような場所。今では旧市街の「水の鏡」に次ぐボルドー第2の人気スポット。


Informations

1. La Belle Saison
75 quai des Queyries
33100 Bordeaux Tél:05.5780.3333
ランチは月〜金12h-14h。土日は-14h30。
ディナーは月〜土18h-22h30。
トラムA線 Stalingrad駅から川沿いを徒歩15分。

2. Les Chantiers de la Garonne
21 quai des Queyries
33100 Bordeaux Tél : 05.4779.8470
月火休。水〜金17h-00h、土12h-00h、
日曜は、12h-日没
https://leschantiersdelagaronne.camp
 
3. Darwin Ecosystème
87 Quai des Queyries 33100 Bordeaux
Tél:05.5677.5206

・3ヵ所はそれぞれ歩いて5分ほどの距離。
・市のレンタル自転車ステーションが近くにあるからボルドー旧市街からもアクセス便利。



Euratlantique 地区

「明日のボルドー」が姿を現わす。

 フランス最大級の新開発地区「ユーラトランティック」が市の南端、ボルドー駅近くに出現しつつある。ガロンヌ川の両岸にまたがり、隣のベーグル市、フロワラック市も含む広いエリアでは、世界に名だたる建築家たちのスタイリッシュな建造物が観られる。

1 : La MÉCA

 デンマークの建築事務所BIGによるMÉCA(ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏近代芸術センター)はボルドーの新しいランドマーク。劇場、映写室、ダンススタジオを備え、出版、映画、視聴覚、演劇、音楽、サーカス、コンテンポラリーアートまでを総合的に支援し、レジデンス制度もある。現代アート展を観た後はカフェ・レストラン、旧市街に向いた屋上のテラスへ!

2 : Arkéa Arena

 「ガロンヌ河岸の石」がイメージというアリーナはルディ・リチオッティの設計で2018年にオープン。2500人から11000人までの大小イベントやコンサートに対応。コロナでスペクタクル上演が難しいなか、9月にもアラン・スーション、M、パトリック・ブリュエルなどのコンサートを予定。こういった場所のバーでもカキが食べられるのはさすがボルドー。


Informations

1. La MÉCA
Parvis Corto Maltese、Quai de Paludate 33000 Bordeaux
Tél:05.4730.3467
国鉄サン・ジャン駅から徒歩5分。
日月祭休、13h-18H30。第1日曜はオープン13h-18h30。第3木曜日は21hまで。展覧会は、最低1€で好きな金額を払う。
地域のビオ食材を使うレストランLE CREMは11h30-14h。木〜土は19hからディナー。LE CREMのカフェは朝8hから営業。

2.Arkéa Arena
48-50 Avenue Jean Alfonséa 
33270 Floirac
www.arkeaarena.com


旅のエトセトラ

● ボルドー観光局
12 cours du XXX juillet 33080 Bordeaux Tél:05.5600.6600
www.bordeaux-tourisme.com
月〜土:9h-18h30 日祭:9h30-17h

● TGV、夜間バス
パリ⇄ボルドー間はTGVなら2時間だが、交通費を節約し一杯でも多く飲みたい人は早めにバスを予約。宿泊費も浮かせたい人は例えば Flixbusでパリを23h55出発、朝7h45にボルドー着。ボルドーから0h15発パリ着7h35は片道20€くらいからある。
フランス国鉄SNCFサイト:www.sncf.com/fr

● コインロッカーConsigne
国鉄のボルドー・サン・ジャン駅Hall2にはコインロッカーがある。毎日7h-23h。小5.5€/中7.5€/大9.5€。お札やカード不可。コインで料金ちょうどを用意すること!

● Bar à Vin du C.I.V.B

3 cours du XXX juillet – 33000 Bordeaux Tél: 05.5600.4347
待ち合わせならボルドーワイン委員会のこのバーが便利。観光局の向かいでわかりやすく、ボルドーワイン委員会の建物の一階にある。おいしいボルドーワインが2€から飲める!赤、白、甘みのある白、ロゼ、クレレット、発泡酒クレマンの白とロゼ。月〜土11h -22h。予約不可。

● ガロンヌ川遊覧船
ユネスコ世界遺産クルーズ、ランチクルーズ、ディナークルーズ、赤白ワイン試飲付きシテ・デュ・ヴァン発着クルーズなどがある。大ワイン商になった気分で、川からボルドーを眺めてみよう。
https://croisiere-bordeaux.com


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