
フランス国立図書館(BnF)は作家マルセル・プルーストの約900点の手稿を競売のサザビーズで落札するために広く一般から寄付を募っている。推定価格は770万€。
手稿はこれまで公開されたことのない、原稿の下書き、自筆の手紙、10代の頃のデッサン、エッセイ、詩のほか、『失われた時を求めて』の手稿など、プルーストの姪の子孫が所有する貴重な資料。時期的には、パリのコンドルセ高等中学の在学中から『失われた時を求めて』の完成期までで、コンドルセ在学中に書いた未完成の作品、哲学的思索の文章、エッセイ、戯曲など。
とりわけ、『失われた時を求めて』に関しては、“マドレーヌ”や就寝のくだりなどの有名な場面の異文(定説とは異なるバージョン)もある。最初はマドレーヌではなく、固くなったパンやラスクだったことがわかるという。また、コンドルセの哲学教師が生徒プルーストの文章を「重苦しい調子」「おぼつかない形式」として20満点中4点をつけた資料もある。

BnFは、これらの手稿を入手できれば、1962年から保有するプルースト関係のコレクションをさらに充実させ、それをインターネットのサイトで研究者らに広く利用してもらえると強調する。一般市民、文学愛好家、プルーストファン・研究者、企業のメセナなど幅広く寄付を募る。
*寄付方法
bnf.frの Soutenez la BnFページから、あるいは小切手もOK。12月31日まで。
寄付金は所得税や法人税の控除の対象になる。
www.bnf.fr/fr/participez-lacquisition-dun-fonds-marcel-proust-exceptionnel
