「睡蓮」は、もちんモネが描いた睡蓮のこと。モネがオランジュリー美術館の一室を覆う「睡蓮」の絵を描いたように、抽象画家のオリヴィエ・ドゥブレ(1920-99)は、家族の家があるトゥレーヌ地方のロワール川を大画面に描いた。
ドゥブレは1990年、トゥールの現代創造センター(CCC)から、当時の建物の一室の壁を覆う高さ4メートル、長さ9メートルの絵4枚の注文を受けた。実際に納入したのは同じサイズの6枚だった。CCCにある5枚に、ルクセンブルクにある残りの1枚を里帰りさせて開いたのが本展だ。
モネよりミニマリスト的で、薄塗の大画面の端に、川の中の小島や川のほとりの植物を想起させるものが描かれている。モネの睡蓮のように、絵の中に入り込んで瞑想状態に浸ることができる。ドゥブレの若い頃の絵は厚塗りで不透明な色の抽象だった。年を経るごとに透き通るような質感の中で色が戯れているような絵を描くようになったドゥブレを見ると、年を取ることの素晴らしさを思う。(羽)
Centre de création contemporaine Olivier Debré(CCCOD)
Adresse : Jardin François 1er , 37000 Tours2019年1月6日まで。月火休。パリからTGVで1時間10分。Tours駅からトラムで5分。