ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の日本映画『アナタハン』がフランス12都市でリバイバル公開となる。スタンバーグといえば、マルレーネ・ディートリッヒを主人公とした『嘆きの天使』『モロッコ』(1930)『上海特急』(1932)などが有名だ。『アナタハン』は1953年に、京都のスタジオで撮影された。
アナタハンは、北マリアナ諸島の島のひとつ。サイパンから北に約170キロ地点にある小島で、1898年以降ドイツ領だったが、1919年から45年まで日本の委任統治領となった。この島に太平洋戦争末期の1944年、軍に徴用されたかつお漁船が米軍の攻撃を受け沈没し、兵士ら31人が漂着する。無人島かに見えた島には、日本企業から派遣されたふたりの男と女が住んでおり、その女性〜この島にただひとりの女性〜、日下部恵子をめぐって生じるトラブルを描いたのが本作品だ。
スタンバーグは、漂流者たちの境遇を新聞で知り 『アナタハン』制作に着手。自らナレーションも担当している。日下部恵子を演じるのは、オーディションでスタンバーグに抜擢された根岸明美(『赤ひげ』『どですかでん』)。(集)
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