昨年12月に逝去した国民的ロックスタージョニー・アリディの遺産相続をめぐり、遺族間の争いが始まった。遺言では最後の妻レティシアに全財産を譲るとしたが、元妻との間の娘と息子が不服を申し立て。一人目の妻のシルヴィ・バルタンも、息子を擁護する声明を発表するなど、騒動が広がっている。
ジョニーには、歌手のシルヴィ・バルタンとの間に息子ダヴィッド・アリディ(歌手、51歳)と、3人目の妻で女優のナタリー・バイとの間に娘ローラ・スメット(女優、34歳)がいる。さらに1996年には、32歳年下のモデル、レティシア・ブドゥ(42歳)を5人目の妻に迎え、ベトナムから養女二人(13歳と9歳)を迎えた。
カリフォルニア法遵守の遺言書
争いの発端は2月12日。ジョニーが遺言書で全財産を妻レティシアに譲るとしていることを、娘ローラと息子ダヴィッドが不服とし、法的措置をとると弁護士が発表した。ローラには「ギター1本、バイク1台、娘にささげた曲『ローラ』のサイン入りCDといった思い出」すら残されず、ローラは「驚愕と痛み」とともにこの遺言書を読んだと説明。ジョニーが晩年、大半を過ごしていた米国カリフォルニア州の法に則った遺言だが、フランスでは子供に相続させないのは違法だとしている。
しかし15日にはラジオ局RTLが、ローラとダヴィッドが生前に巨額の不動産などを相続したことを示す公証人の文書を入手したと報じた。世論はレティシア寄りに変わりかけたが、16日にはダヴィッドの母バルタンがこの報道を「フィクションで嘘でしかない」と否定。ジョニーの50年来の親友で歌手のエディ・ミッチェルも「子供に相続させないなんて理解できない」とローラへの支持を表明した。
家族ドラマに報道過熱
今後、ローラとダヴィッド側の弁護士は、ジョニーが主にフランス国内で活動していたことや、フランス国籍であることなどを理由に、遺言書が無効であることをフランス当局に訴える予定。
昨年12月、約100万人のファンが詰めかけ、大統領も参列した国葬級の葬儀で、支え合う様子を見せていたアリディ一家の早急な分裂。ゴシップ紙から一般紙までが確執を説明しつつ、「レティシアは、どうやって権力を手にしたか」(ル・パリジャン紙)、「なぜジョニーはローラに何も残さなかったか」(クロゼール)などレティシア派、ローラ/ダヴィッド派に分かれた様々な見出しで報道は過熱。60年間注目を浴び続けたアイドルは、死してなおメディアを賑わせている。(重)