ロキア・トラオレは、マリの女性歌手といっても、新世代だけに軽くクールな響きがあって新鮮だ。ヨーロッパでの生活が長い彼女の音楽には、伝統音楽だけでなくジャズやロックの影響も強い。そこが好き嫌いの分かれ目かもしれないが、じっくり聴き込むと、その涼しい声の底に、しっかりとアフリカの脈動が感じられる…といったことを3年前のパリ公演のときに、書いたが、この新アルバムにも当てはまる。
『Amour』や『Tu vole』のようなフランス語の歌はポップにアフリカ色を付けたような感じで残念だし、ビリー・ホリデイの名曲『Strange Fruit』は感情過多すぎる。ギターだけのバラードは悪くないけれど、聴きどころは『Kènia』や『Obiké』。マリ音楽特有のシンコペーションのきいたリズム、ギターやコラの歯切れよいリフから、トラオレの、こぶしを少しだけきかせた声が浮上し、こちらもいい気持ち。そして体が自然に踊り出す。このすぐれたタイム感覚は、やはりアフリカ人ならではのものだ。今回のパリ公演、早めに予約して出かけましょう。(真)
28日18h30オープン、20h開演。30/34€。
Le Trianon : 80 bd de Rochechouart 18e
01.4492.7800 M°Anvers
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