牛と人間が正々堂々と戦うカマルグ式闘牛。南仏プロヴァンスやラングドック=ルシヨン地域圏の円形闘技場で行われる伝統スポーツだ。人間は牛の頭部に付けられた紐やリボンを、引っ掛け金具を使って奪う。立派な角を持つカマルグ育ちの牛は、砂埃を立て人間の背中を容赦なく追いかける。牛の攻撃をかわすため、人間はギリギリのタイミングで場外の壁へとジャンプ!観客席からは悲鳴や歓声、拍手があがるだろう。
だからここでは人間を追いつめる牛こそがスター。素晴らしい記録を残した牛は伝説となり、後世の語り草となる。最後に牛を殺めて終わるコリーダとは、全く違った文化が息づくのだ。オヴニーはカマルグ式闘牛の選手を育成する学校や、カマルグ式闘牛に出場する牛を育てる牧場を訪れた。選手になるのもカマルグ式闘牛に出る牛になるのも、選ばれた者だけが許される狭き門だ。
真夏はカマルグ式闘牛の最盛期。今年のバカンスは勇敢なラザトゥールと牛たちを応援しに、南仏の闘技場に出かけませんか。(瑞)
構成・写真・文/林瑞絵