● Les Peintres au charbon
1930年代イギリス北部の小さな町。終日炭坑で働く坑夫たちが「芸術への関心を喚起」するためと週に一度絵を習いはじめる。生まれてこのかた絵筆を握ったこともなく、一度も美術館に足を踏み入れたこともない坑夫たちが描く絵は稚拙で構図もめちゃくちゃ。けれどもそれぞれが描いた絵を批判しあったり、先生から意見を聞いたりするうちに坑夫たちの絵への関心と情熱は高まり、裕福な美術収集家からの支援もあって、ついにグループは合同展を開くところまでにこぎつける…。
この戯曲の作者は、炭坑町に生まれた少年がプロのバレエダンサーを目指す映画『リトル・ダンサー』の脚本もつとめたリー・ホール。同戯曲はフランスでは初の舞台化だけれど、イギリスやブロードウェイではロングランとなるほどの人気を呼んでいるという。
『リトル・ダンサー』でもそうだったように、何よりよいなと思ったのは、坑夫の一人が言う台詞「芸術は金持ちや見識者たちだけのものではなく皆のために存在するのだ」ということだ。芸術を介してこれまで坑夫たちが知らなかった外の世界への門戸が開かれる。また坑夫たちの連帯感というか、彼らが育んでいく人間関係がすばらしい。ひとりは画家として独り立ちできるほどの感性を持っているのに、援助してあげるという美術収集家からの申し出を断り、孤児だった自分を家族同様に迎えてくれた炭坑の仲間たちと日曜画家としてとどまることを選ぶ。
大きな半透明のパネルを使って坑夫たちのアトリエ、先生の住居、美術収集家の庭、ロンドンの美術館…と舞台空間がくるくると変わる。演出はマリオン・ビエリー。
22日迄。火20h、 水木19h、金土20h30、土日16h。
10€-30€。(海)
Théâtre Artistic Athévains :
45bis rue Richard Lenoir 11e 01.4356.3832